工場では、脊柱除去などによるBSE対策を実施
牛の脊柱切り落とし作業
日本では、BSE騒動の余波などで、まだ牛肉消費は完全に回復していない。騒動が起きる前の2000年に比べ、消費量が2割強下がったままだ。
そんな中でも、オージー・ビーフでは、オーストラリアの食肉加工から日本の食品加工まで、安全性確保のための工夫や努力が続けられている。
オーストラリア最大の食肉加工会社スウィフト・オーストラリアが運営するクイーンズランド州の工場。そこを見学すると、使うナイフや手袋を熱湯や溶剤に入れて消毒をするまでの徹底した安全管理が行われていた。牛の解体作業では、牛の脊柱を入念に切り落とす。そして、脊柱のときは違うナイフで、1回ごとに後ろの洗浄台で手やナイフを洗いながら作業を行うという念の入れようだ。
トレーサビリティも徹底しており、牛肉ブロック入りの箱には加工日などのデータを必ず入れている。これと電子タグで農場まで追跡可能なわけだ。
工場の牛肉製造責任者のショーン・ジョンソンさん(42)と会社の品質管理責任者のマイケル・ジョンソンさん(38)の兄弟は、こう話す。
「日本は、生産の4割を出荷している重要なお客さまです。義務ではありませんが、1日に2回、違う牛肉加工過程で細菌チェックをしています。将来的には、『カイゼン』と呼ばれるトヨタのクオリティコントロールも製造過程に導入してみたい」
さらに、オージー・ビーフの信頼性は、日本に輸入後の各企業の努力にも支えられている。
例えば、オージー・ビーフをハンバーガーに使用しているマクドナルド。同社への日本最大のサプライヤーであるスターゼン株式会社 マクドナルド事業部 千葉工場で尋ねた。松本理工場長は、「大腸菌、サルモネラ菌など5項目にそれぞれ自主基準を設けています。できた牛肉のハンバーガーパティは、この基準内に収まっているかを厳しく確認した上で出荷しています」と説明する。