「大学教育の価値そのものを否定する行為じゃないのだろうか」
早大のスポーツ科学研究科では、出願資格として、さらに3つの条件がある。日本代表などのトップレベルの実績3年以上、スポーツビジネス関連企業などで通算5年以上の実務経験、弁護士などの資格といったものだ。早大広報課では、「一般の受験とは違うコース」と説明している。
早大によると、こうした条件下で、高卒の企業経営者なども過去に合格しているという。
ただ、出願資格をクリアし、さらに入試にも合格しなければならないだけに、一般の人が高卒の学歴で合格するのは相当大変そうだ。
野球界で経験豊かな桑田真澄さんも、合格した早大には結局行かずプロ入りしただけに、学力面で四苦八苦したらしい。スポーツ紙などによると、入試面接では高度に専門的な質問が出て、受け答えが「しどろもどろになった」という。「手応えがなかった」「自信なくした」などの発言を連発し、合格について、「レフトフライが、風が吹いてホームランになった」と表現している。
ミクシィの日記を見ると、桑田さんの合格には、「頑張って入ったのだと信じます」と祝福する書き込みは多い。一方で、大学で学んでいないだけに、不思議がる声も出ている。
中には、「結果はどうだったかわからないけど元プロ野球選手だから合格させただけのようにしか思えない」「自分たちがやっている大学教育の価値そのものを否定する行為じゃないのだろうか」などと、高卒で合格させる選考のあり方に疑問の目を向ける書き込みもあった。
これに対し、早大の広報課では、「世間的に有名だからいいわけではありません。(桑田さんらの合格は)あらかじめ決まっていたわけではなく、厳正に選考した結果です。高卒で入学させたからといって、大学教育のレベルが落ちるということもありません。入った後に、どんな研究をするかということの方が大事だからです」と理解を求める。文科省大学振興課でも、「高卒の学歴で入学させたからと言って、大学教育の質が下がるとは考えていない」と話している。