トヨタやソニーの赤字幅は広がる一方
世界中の、どの国も景気悪化が著しい。だからからといって、内需に目を向けても人員削減や賃下げの不安で消費者の購買意欲は上がらない。モノが売れなければ、企業の利益は上がらない。値下げが消費に結びつかなくなって、内需拡大どころか、今のままではデフレスパイラルが懸念される。
過去の円高局面で日本企業が行ったのは、商品の高付加価値化。自動車でいえば最新のエンジンの研究・開発だが、収益の低下でここまで資金が回らなくなっている。これでは消費を刺激することすら儘ならない。
もう一つは、海外進出。ホンダは現在も北米の販売台数の約8割を現地生産しているが、「従来から、できるだけ需要のあるところで生産する方針でやってきた。この局面で方針を変更する予定はない」(広報部)という。輸出ではなく、現地生産を強める企業はここ数年来増えているが、第一生命経済研究所の主席エコノミスト・嶌峰義清氏は、「いまの為替水準が続くようだと、さらに海外進出が増える可能性がある」と指摘する。
しかし、いまの景気悪化は世界中で起こっている。傷が浅そうな新興国への進出を強めようとしても、今度は他社との競争が激しくなって、これまでのような儲けは見込めない。 国内はもっと深刻だ。工場の海外移転がさらに進み、雇用機会が失われることで、国内消費はますます悪化。これでは八方ふさがりだ。