日本人の成人6人に1人が糖尿病とその予備軍という時代に、手軽にワンコイン(500円)で、メタボ健診を受けることができる「検診所」が登場した。予約も要らず、通勤や買い物帰りに立ち寄れて、簡単に検査できる手軽さがウケている。「気づいたときには病気が進行していた」ということが少なくない糖尿病だが、その予防医療として注目されそうだ。
自ら検査するので、医療行為ではない
ワンコインでメタボ健診ができるのは、東京・中野のショッピングアーケード「中野ブロードウエイ」にある「ケアプロ中野店」。駅などに見かける献血ルームのイメージで、「ちょっと立ち寄り、ちゃんと健康」をコンセプトにしている。
血糖値や総コレステロール、中性脂肪の3項目をワンコイン、各500円で検査してくれて、これに身長と体重、BMI(肥満度)、血圧、骨密度を加えたセットメニューは1500円。病院で生活習慣病の血液検査を受けたら、とてもこの値段ではすまない。
ケアプロの「売りもの」は、この安さと検査時間の早さだ。診察券もないし、保険証の提示もいらない。1分足らずの採血で、たとえば血糖値の判定が58秒でわかるなど、とにかくスピーディー。検査結果は、携帯電話サイトでも確認できるから、通勤や通学の行き帰り、買い物の短時間で手軽に立ち寄って検査できる。
受診者が自分で採血用の器具を操って、指から採血することで医療行為にあたらないようにしているのが、ミソ。ドクターこそいないが、常駐しているのは看護師と保健師の有資格者だ。
派遣社員や主婦といったふだん受診する機会が少ない層に「的」
サラリーマンであれば、会社から健康診断を受けるように指導されるが、自営業者や派遣社員、フリーター、主婦といった人は、ふだん受診する機会が少ない。病院にかかれば、初診料だ、診察料だとお金がかかってくるから、ちょっとしたことでは「検査しよう」と思えないこともある。
すでにメタボと診断された人でも、日々の運動や食事療法の成果を確かめたいと思っても、血液検査だけのために、わざわざ病院にいくのは面倒だ。
病気かどうかわからないのに、病院に出向くのも気が引けるもの。しかし、糖尿病などは症状が現れたときにはすでに進行しているため、ふだんから健康チェックを怠らないようにすることが大事だ。ケアプロの川添高志社長は「生活習慣病を未然に防ぐためにも、気軽に検査できる場を提供する必要があると考えた」と話す。
「土日の来店者数は、1日20人くらい。まだまだ、これからです」(浅井裕美店長)と話すが、評判はジワジワと広がっている。