保険料払えぬ失業者の加入が増加 国民年金は崩壊危機

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202万人の保険料全額免除で「制度は破たんしている」

   本来、年金は保険料を納めるべき人が納めなければ、年金原資は枯渇してしまい、きちんと納めていた人の年金の受け取りまでも危うくなってしまう。年金原資について、社会保険庁は「50年は積立金の運用でやっていけるよう制度設計している」という。保険料も2015年度には1万6380円に引き上がるので、「枯渇の心配は当面ない」と言い切る。

   現在、国民年金の加入者は約2035万人(08年3月末、第1号被保険者)。このうち、失業などの理由によって保険料を全額免除してもらっている人は202万人、一部免除者は54万人に上る。

   社会保険庁は、申請による保険料の全額免除者は06年度末に比べて約5万人減ったが、「いまの雇用情勢などを見ると08年度は増えるかもしれない」と話す。

   同庁によると、もらえる年金は満額(納付期間40年)だと年間79万2100円だが、減免手続きをした人は減免を受けた期間によって異なり、たとえば1年間の減免期間あった人は、4か月分(未納期間の3分の1)を納めたこととして計算されるので、「満額」に比べて年間約1万3000円減額されるという。

   国民年金は原資の3分の1を税金で補っているので、結果的に未納分を税金で負担しているのと同じことになる。

   年金問題に詳しい中央大学の山田昌弘教授は、「徴収方法に限界がきている」と指摘する。国民年金は、元は自営業者のための年金だったが、そこに学生や非正規雇用者など収入がない人や不安定な人までも対象に加えることで加入者を増やした。それなのに保険料は一律徴収。保険料を納めることができる人が加速度的に減って、それによって原資も減る。「すでに制度が破たんしている」(山田教授)という。

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