「テレビの歌番組に失敗は許せない。音質にも厳しい」
08年11月に中国文化部はやっと重い腰を上げて、「口ぱく禁止の規定(案)」を出した。まだ案の段階だが、中国最大の「口ぱく」祭りである「春節の夕べ」もそれに該当するということになった。「本当の声でテレビ番組に出るなんか、国民は思いもかけないだろう」とプロデューサーの秦氏はいう。
テレビの目玉番組である「春節の夕べ」は、毎年数億人の視聴者を獲得している。ただ、最初から「口ぱく」をしていた訳でもないようで、1994年ごろには歌手の紅豆氏が出て、歌詞を間違った例もあった。その後は、どんな激しいアクションをしても、歌手たちは喘ぐことなく、平気に歌を歌った。
「春節の夕べ」は、「ずっとそうだった」と中央テレビ局のシニアプロデューサーの袁徳旺氏は明かす。
「テレビの歌番組は、普通の音楽会とは違い、失敗は許せない。音質にも厳しい。とくに春節の夕べのような番組は、本当の声で歌を歌うことなんかは絶対にありえない」
と袁氏は言う。
芸能界も動揺を隠せない。「口ぱく」だから、映画俳優でも、自作の歌の歌詞さえも覚えられない歌手でも、その番組に出て、立派に任務を完遂できる。こんな考え方が普通だった。本当の声で失敗したら、いままでの名声がすべて失われるのではないか。芸能界はそう心配している。
大晦日の「春節の夕べ」で、歌手は失敗連発、なんてことになるのだろうか。
(J-CAST 北京)