今度は英国発の金融不安広がる オバマ大統領も認める深刻さ

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   「われわれはいま危機の真っ只中にある」。オバマ大統領が就任式の演説で強調したように、世界的な金融危機はまったく収まる様子がない。大統領就任と時を同じくして、今度は英国を発信源とする金融不安が広がり、2009年1月21日の東京株式市場の日経平均株価は8000円を割り込んだ。東京だけではない。香港や上海、ロンドン、パリ、フランクフルト…いずれの株式市場も下落基調で浮揚する気配もない。

オバマ大統領「かつてないほど深刻」と演説

   米国のみならず、世界中がオバマ大統領の誕生に熱狂している。世界的な金融危機、景気低迷から脱したいという強い思いが、オバマ氏への期待感となって膨らんで、そうさせている。

   しかし、オバマ大統領自身、現在の経済状況がかつてないほど深刻な状況にあると受け止めていて、事態の打開が容易ではないことを就任演説で語った。

「われわれはいま危機の真っ只中にある。一部の強欲で無責任な人々のせいだけでなく、皆が困難な道を選び、次の世代に備えることができなかった結果、経済的困難にあえいでいる」
「われわれが直面する課題は現実かつ深刻。この危機は本物であり、これらは容易に、あるいは短期間に解決できるものではないが、必ずやりとげる」

   「世界的」とされる金融危機だが、まずは米国の景気対策。オバマ氏はすでに、8000億ドルの大型経済対策を発表しているが、国際金融アナリストの枝川次郎氏は「案件を吟味して入札して、といった公共事業型ではV字回復は期待できない」と話す。

   株式市場は冷めている。1月21日の東京株式市場は前日比164円15銭安の7901円64銭。8000円を割ったのは、08年12月5日以来1か月半ぶりだ。

   1月20日のニューヨーク株式市場のダウ平均株価は、前日に比べて332.13ドル下がり7949.09ドル。ナスダック総合指数も1440.86ポイントと88.47下落した。

   香港(ハンセン指数、21日)は前日比233.67下げて12726.10。欧州ではロンドン(FT100、1月20日)が17.07下落の4091.40、パリ(CAC40、20日)が322.13下がり2925.78、フランクフルト(DAX指数、20日)は76.29下落して4279.85だった。上海、インド、オーストラリアなどの、世界中の株式市場が軒並み下落した。

RBSに4兆円 英国の公的資金まだ足らない?

   折りしも、英国で4兆円もの公的資金を資本注入したロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)が1月19日、08年度通期決算の見通しで「過去最大の損失を計上する可能性がある」ことを明らかにした。

   RBSは、英中央銀行のイングランド銀行が不良債権を買い取るなどの支援策を講じていることから経営破たんの心配はない。しかし、他行への公的資金の資本注入を含めると、「いったい、いくらの公的資金が必要なのかわからない」ほど、英国の金融不安は深刻さが増している。

   それによってポンド安が進んで、輸出企業や大手銀行の株価が下落したことが1月21日の日経平均株価を押し下げる要因にもなった。NYダウ市場でも、金融株はおしなべて下落基調にある。

   RBSの株価は1ポンドを割り込んで10~12ペンス。英バークレイズなども低水準で推移したままだ。前出の枝川氏によると、「もともと、住宅バブルの崩壊などの影響は米国よりも欧州のほうが深刻だった。RBSの件は、それが現実のものとなっただけ」という。

   とはいえ、リーマン・ショックの二の舞は許されない。「オバマが先導して世界中で協力して局面を打開するしかないし、そういった雰囲気がうまれつつある」(枝川氏)。やはり、オバマ大統領に期待するしかない。

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