「心理的な耐用年数は短い」との指摘も
もっとも、ネット上では、ローコスト住宅に対して、不安視する書き込みは多い。耐用年数や耐震性はどのくらいか、間取りの狭さ、建築工事への不安といった点だ。
こうした品質上の懸念に対し、前出のアーネストワン住宅企画課長は、こう理解を求める。
「耐用年数は明らかにできませんが、短いということはありません。耐震性は、業界の基準で3等級のうち最高の3を取っています。間取りでは、圧迫感がないように、吹き抜けにしたり、キッチンの上の吊り戸棚をなくしたりしています」
専門家は、ローコスト住宅をどうみるのか。
建築家の佐川旭さんは、580万円の住宅について、「坪単価が33万円なので、このくらいならできないことはないでしょうね」としたうえで、そのカラクリをこう話す。
「メーカーから既製品の風呂やトイレ、キッチンなどを大量に買うと、3、4割引のところが半値ぐらいで入ってきます。大工さんにも継続して仕事を出せるので、手間がかからず日給も安くできます。初めて買う人は、家を持てた喜びから要望が少ないので、買いやすいでしょうね」
ただ、耐用年数や耐震性はクリアされても、長い目で見ればデメリットがあるという。
「壁はビニールクロス、床は合板という住宅が多いようです。今人気がある土壁や木目調の内装にもできず、1年ごとに輝きを増すうるおい感は乏しいでしょう。飽きが早く来てしまい、心理的な耐用年数は短いはずです。ローコストの中に、いかにプラスアルファの要素を加えられるかが人気を保つカギと言えます」
建築工事への不安については、佐川さんは、「5回で15~20万円ぐらいかかりますが、設計事務所や調査会社などの第3者に施工をみてもらうといいと思います」とアドバイスしている。