「売りに出されても、魅力はない」と冷ややかな見方
さらに、金融危機が深刻化するにつれ、「サーベラスは投資回収のため、あおぞら銀の売却を急ぐのではないか」との憶測が飛び交った。サーベラスはGMACに加え、米クライスラーにも出資している。「米自動車業界の極度の不振がサーベラスを襲い、あおぞら銀も手放さざるを得なくなる」との見方が広がったためだ。
サーベラスは売却観測を否定しているが、「仮にあおぞら銀が売りに出されても、魅力はない」(邦銀首脳)と冷ややかに受け止める向きが多い。旧日債銀と同じ1998年に破綻した旧日本長期信用銀行を引き継いだ新生銀行も業績は振るわないが、消費者金融大手レイクを買収するなどノンバンク路線で生き残りを目指しているのに対し、あおぞら銀は将来戦略が描けていないからだ。
あおぞら銀は08年2月、元農林中央金庫の著名ファンドマネージャーで、鳴り物入りで最高経営責任者(CEO)に迎えた能見公一氏を更迭。後任に据えたフェデリコ・サカサCEO兼社長も今春限りでの退任を示唆している。首脳がくるくると代わり、経営方針が一貫していない「迷走」ぶりも市場の不興を買い、株価は低空飛行。株価が回復しない限り、公的資金の返済にもめどが立たないのが実情だ。