元派遣社員に「農業」が大人気 相談会は定員オーバー状態

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   民間企業が新規採用を控え、全国的に雇用情勢が悪化している中、安定した仕事として農業法人への就職が注目を集めている。2009年1月以降、各地で行われている就農相談会には駆け込み参加者もいたりして、定員オーバーするという盛況ぶりだ。

就農の個別相談には長い列ができていた

   新潟県農林水産部担い手育成課は2009年1月17日、雇用情勢の悪化を受けて、緊急で農林漁業に関する新規就業相談会を新潟市内で行った。事前の応募者は50人だったが、当日の飛び込みもあり、約90人が参加した。製造業で派遣切りや雇い止めにあった人や、派遣で働いているが将来に不安を感じ、転職を考えている人、数は少ないが高校生や大学生も集まった。20歳代から60歳代までと幅広く、30歳代から40歳代がもっとも多かった。

   定例での相談会は年に2回行っている。08年6月には約60人、11月は70人が集まった。当時はまだ、雇用情勢がそれほど悪化していなかったが、それでも予定の50人を超えており、農業への関心の高さがうかがえる。担い手育成課の担当者によると、08年末からさらに雇用状況が悪くなったので、興味を持つ人がもっといるのではないかとして、急きょ開催を決めた。

   相談会では農業法人や森林組合、漁協の15団体がそれぞれの仕事内容について説明し、個別の相談にも応じた。担当者は、こう語る。

「定例の相談会と比べて、個別相談に一層熱が入っていたように感じました。1人あたりの相談時間が押して、ブースの前には長い列ができていました」

   1月19日には長岡市で相談会を開催した。事前応募者は20人だったが、ここでも飛び込みが多く、45人が集まった。1月20日には上越市で開催する。

「農林漁業は高齢化による担い手不足が深刻化しています。職業の1つとして考えてもらい、意欲のある人はどんどん応募して欲しいと思います」

と話し、期待は高まっている。

「仕事があるならとにかく働きたい、安定した仕事に就きたい」

   全国の農業法人の求人情報を扱い、電話や面談形式での相談も行っている全国新規就農相談センター(東京都千代田区)も雇用情勢が悪化していることを受けて、1月7日から緊急対策として求人数を増やしている。1月19日現在で募集は正社員248人、パート189人。

「1月に入ってから、電話やメールでの問い合わせや面談が増えています。派遣切りにあったという人や、今派遣で働いているが今後が不安だという人など、いろいろです。工場で働いていたという人で、屋外で健康的に働きたいという理由から農業を目指す人もいました。ほとんどの人は農業の経験がないが、仕事があるならとにかく働きたい、安定した仕事に就きたいという印象を受けます」

   1月27日には東京しごとセンター(東京都千代田区)と共同で、「緊急相談会&就農セミナー」を開催する。1月6日から募集を開始したが、東京しごとセンターの担当者は、「1週間ほどで定員の50人に達し、他のセミナーに比べて早い段階で締め切りました」と明かす。

   トヨタ自動車など製造業が多く集まる愛知県名古屋市でも、農業セミナーを2月8日に実施する。セミナーの事務局となっている人材紹介会社インテリジェンス(東京都千代田区)の担当者は、

「定員は30人としていますが、募集開始から1週間ほどで約50人の応募がありました。愛知は製造業の雇い止めが多いからでしょうか、注目が高いようです」

と話している。

   応募者は20歳代半ばから40歳代が多い。2月1日には東京で、2月7日には大阪で行うが、それぞれ1月19日時点で40人ほど集まっており、「再就職の道に農業を選ぶ人が全国的に増えているのではないか」とみている。

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