ビートたけしさんに「このハゲ!」などと呼ばれていた元「たけし軍団」の東国原英夫宮崎県知事がテレビ番組で、「髪の毛が増えているんですよ」と語った。あるシャンプーを使ったからだということだが、シャンプーで毛が生えるなんて本当にあるのだろうか。
知事だけではない「ハゲからの復活」
東国原知事が登場したのはTBS系ニュースバラエティー「サンデー・ジャポン!」(2009年1月18日放送)。この日は09年1月11日に行われた東国原知事の著書「決断力」の出版発表の模様が放送された。
記者から、これまで最も決断力が必要だったのは何時かと聞かれると、知事は
「県知事選に出馬を表明したときですね」
と答えた。「サンジャポ」の記者から、
「知事が、ご自身の毛根にあきらめの決断を下したのはいつですか」
と問われると、真面目な顔つきでこうこう言った。
「32歳ですね。でも、最近はシャンプーを使って、あの、(頭髪が)増えたという話しですよ」
弁護士の八代英輝さんからも「サンジャポ」のスタジオで、「知事増えましたね」と言われたのだそうだ。そして知事は嬉しそうに、
「増えているんですよ」
と言い切った。
知事がそのシャンプーを使い始めたのは1年以上前になるようだ。知事の芸人時代の弟子で、知事になってからは身の回りの世話を担当している早川伸吾さんのブログ「早川伸吾の選挙裏日記」を見ると、08年1月28日付けに「東さんの毛が増えた!」という記事がある。08年1月に選挙ポスターを見たとき、あきらかに知事の毛が増えていて、増毛疑惑を持ったのだそうだが、間近で「実物」をチェックしたところ自毛であったとし、
「知人の薬剤師にもらった育毛シャンプーの効果みたいです」
と書いている。
もともとこのシャンプーを東国原知事に紹介した、とされるのが「たけし軍団」後輩の水道橋博士さん。水道橋博士さん自身も薄毛に悩んでいた、という内容が著書「筋肉バカの壁」に書かれている。取材で「へアコンタクト」のメーカー、プロピアを訪れた際に、たまたま同社のシャンプーをもらった。それを2年間に渡り1日も欠かさず使ったところ、
「40歳を超えてから、奇跡的にハゲから復活した」
のだという。
「シャンプーで髪の毛が生えることはない」とメーカー側
そのシャンプーは、プロピアと三恵製薬が共同開発した「プログノ126」。他のシャンプーとの大きな違いはプロテインが入っていること。プロテインが頭髪や頭皮に栄養を与え、抜け毛が減少。髪にツヤ、コシ、太さを取り戻す効果が出たのだそうだ。本にはお笑い芸人の小杉竜一さんの事例も載っていて、小杉さんが同様の成分が含まれる三恵製薬のシャンプー「テタリス」を使ったところ、「毛が生えてきている」状況が生まれたというのだ。しかも他の「療法」は一切していないというから驚きだ。
これが本当ならば薄毛に悩む人には朗報だ。水道橋博士がことあるごとにテレビなどでシャンプー効果を話すものだから、「プログノ126」や「テタリス」はバカ売れ。1年前には品切れが続き現在も人気が衰えない。なぜこれらのシャンプーは髪を増やすのか、プロピアに問い合わせたところ、意外な答えが返ってきた。
「毎日たくさんの問い合わせをいただいておりますが、当シャンプーは、発毛を謳っておりませんし、育毛にも直接的な影響が出るとは考えられません」
つまり、頭皮や毛髪に栄養を与えることを目的とした製品あり、毛が生えたり育ったりする目的で作ったものではない、というのだ。三恵製薬にもJ-CASTニュースが取材してみたが、回答は同じだった。
「シャンプーで髪の毛が生える、などというのはないと考えています」
同社によれば、発毛や育毛というのは、シャンプーで頭皮や髪を清潔にするほかに、発毛・養毛剤、食事、ストレス解消など様々な要因によって効果が出るのだそうだ。ということは、本当に東国原知事の髪の毛が増えたとすれば、シャンプーだけでなく他にも数々の涙ぐましい努力があった結果、なのかもしれない。