麻生首相の盟友、鴻池祥肇内閣官房副長官に「女性スキャンダル」が突如浮上した。議員宿舎に既婚女性を泊めたというものだが、民主党の鳩山由紀夫幹事長も「早くお辞めになった方がいい」と述べるなど、野党側からの厳しい追及も避けられない状勢だ。鴻池官房長官と麻生首相は33年以上の付き合いで、「麻生太郎の足の裏まで絵に描ける」と言い切るほどの仲だ。
議員宿舎のカードキーを女性に渡す?
鴻池氏の「女性スキャンダル」が浮上した東京・麹町の議員宿舎
鴻池氏の「女性スキャンダル」は、2009年1月15日発売の「週刊新潮」が報じたもの。同誌によれば、09年1月6日夜、鴻池氏は40代半ばの知り合いの既婚女性と東京・四谷の居酒屋で食事をした後、女性とともに麹町の議員宿舎に泊まったという。女性は同誌に対して「トイレの個室で明け方まで寝ていた」と釈明しているようだが、女性は08年12月中旬から複数回、議員宿舎に宿泊していたといい、議員宿舎のカードキーがこの女性に与えられていたというのだ。同誌では、鴻池氏と女性が居酒屋で食事する姿や、女性がカードキーで議員宿舎に入っていると思われる写真が掲載されている。
このスキャンダルについて、麻生首相は09年1月14日の段階で、「本当かどうかわからないから、週刊誌の情報をもとにお答えするというのは、軽はずみのような感じがするので、うかつには答えられない」とコメントを控えたが、民主党の鳩山幹事長は「今のうちに早く官房副長官をお辞めになった方がいい。このようなときは、しっかりとした責任をおとりになることが何より大事なこと」と辞任を求めている。さらに、与党・公明党の浜四津敏子代表代行からも1月15日に、「国民に対して説明することが必要だ」とクギを刺される状態だ。
河村健夫官房長官は2009年1月15日午前の会見で、
「大部分、相当、事実に反する話だということなので、改めて確認をさせていただこうと思います」
と述べていたが、同日午後には、女性が何回か議員宿舎を訪れたことがあることを認める一方、「不倫交際」を否定。ただ、カードキーについては「常時貸与したのではないとのことだった」と、カードキーを貸与したことが少なくとも何回かあったことを示唆している。河村官房長官は、鴻池氏に口頭で厳重注意したとのことだ。
「反麻生」の仕掛けではないか、といった噂も
鴻池氏は日本青年会議所の会頭を経験しているほか、2000年には「自由民主党組織本部 女性・社会教育・宗教関係団体委員長」に就任したとの記述がホームページにある。さらに「鴻池語録」というコーナーでは「教育とは未熟なる子供をまともな大人にする大切な仕事です。最近の教育は変ですよ。競争は残酷だからとやらせない。子供が嫌がるから忍耐力を要することはやらせない」と話し、06年12月には「お天道さんはみてござる」というタイトルのエッセイ集まで出版している。教育には大層力を入れているようだが、そんな鴻池氏に「既婚女性のお泊まり」が浮上したとなれば、批判も避けられそうもない。
鴻池氏は、麻生氏の盟友として知られ、06年12月に麻生派の「為公会」の立ち上げに関わり、副会長に就任している。過去4回の総裁選でも麻生氏の推薦人に名を連ね、06年9月の総裁選の際には、
「33年の付き合いです。麻生太郎の足の裏まで、いま絵に描けと言われれば描ける仲でございます」
とスピーチしていた。日本青年会議所の会頭を経験しており、さらに、09年1月4日の麻生氏の伊勢神宮参拝にも同列している。いわば麻生氏の「懐刀」といった立場だが、一方で、今回の女性スキャンダルについても、「反麻生」の仕掛けではないか、といった噂も絶えない。J-CASTニュースでは「大部分、相当、事実に反する」という事実関係を確かめようと鴻池氏の事務所に問い合わせたが、鴻池氏は官邸にいるとのことで、
「本人も秘書もいないため、わからない」
ということだった。