選挙期間中にブログを更新したり、「辞めさせたい議員の投票」をしたりして議論を呼んだ鹿児島県阿久根市の竹原信一市長(49)と市議会との対立が、いよいよ深刻化してきた。市長に反発する市議らが2009年2月にも不信任案を提出する方針で、可決は確実な情勢だ。可決後は議会が解散され「出直し選」が行われる見通しだが、改選後の議員構成によっては、市長が失職する可能性も出てきた。
「常識では考えられないことで、『阿久根の恥』」と市議
市長と対立を深める市議会では、市議15人のうち、市長に反発する12人がグループを結成。09年2月にも臨時議会の開会を求め、市長に対する不信任決議案を提出する見通しだ。同決議案は、(1)ブログで市議を非難するなど品位に欠ける書き込みを続けていること(2)市長がリクルーティングした教育総務課長が前職を辞めていなかったことが判明し、地方公務員法が禁じている「兼業」状態が明らかになったこと、などを非難する内容になる模様だ。
「反市長グループ」の市議のひとりは、
「あのようなブログの書き込みは、首長がやることじゃない。(新聞記事でコメントが掲載されているように)大学の先生も批判している。常識では考えられないことで、『阿久根の恥』。市長就任以来の騒動で、一番困っているのが、緊急雇用対策などの議員としての仕事ができなくなってしまったこと。許せない」
などと市長に対する不満をぶちまけた。
地方自治法第178条の規定によると、不信任決議案は議員数の3分の2以上が出席した上で、そのうち4分の3以上が賛成すれば可決される。可決された場合は、市長は、その通知を受けた日から10日以内に議会を解散することができる。解散された場合は、いわゆる「出直し選」が行われることになる。ただし、改選後の議会で再び不信任案が出された場合は、可決へのハードルが「議員数の3分の2以上が出席した上で、そのうち過半数が賛成すること」と、1度目よりも大幅に低くなる。2度目の不信任案が可決された場合は、市長は失職する。
不信任決議案可決なら市議会解散
不信任決議案の提出を計画している市議の数からすると、同議案が可決される可能性は濃厚で、竹原市長も
「そりゃ、可決されたら解散しますよ」
と、「出直し選」が行われる公算が大きい。
前出の市議は
「竹原市政の現状を『会報』にまとめて市民に知らしめ、選挙で信を問いたい。私たちのグループが、市民の支持を得られるものと確信している」
と自信を見せるが、一方の竹原市長は
「(反市長派)12人のうち、引退して次の選挙には出られない人もいるし、『今の議会の状態ではダメだ』として出馬を考えている(市長派の)人もいる。(反市長派は、市民に)嫌われていますよ。(改選後の勢力図については)分かりませんが、がんばります」
と、両者の主張はどこまでも平行線をたどっている。
出直し選の投開票は3月22日に行われるとの見通しが有力で、人口2万4000人あまりの、阿久根市の民意が試されることになりそうだ。