かんぽの宿のオリックス売却 鳩山総務相発言で政治問題に浮上

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   日本郵政の保養・宿泊施設「かんぽの宿」のオリックスへの売却問題が、鳩山邦夫総務相の「出来レース」発言で、与野党を巻き込む政治問題に浮上してきた。鳩山総務相は国会の主戦場である衆院予算委員会でオリックスに矛先を向け、売却を認めない方針を示している。また、民主党の枝野幸男衆院議員はオリックスの宮内義彦会長の参考人招致を要求するなど、この問題が今週以降、国会の追及を受けるのは必至だ。

08年末の時点では売却に関心示していなかった

   日本郵政は年間40億~50億円の赤字が続くかんぽの宿を、2012年9月末までに売却することが、郵政民営化関連法で義務付けられている。日本郵政は08年末に行った競争入札の結果、オリックス子会社のオリックス不動産に施設を一括譲渡すると08年12月26日に発表した。

   これに噛みついたのが鳩山総務相。オリックスの宮内会長が政府の総合規制改革会議の議長として、規制緩和を進め、郵政を含む民営化議論を行ったことから、2009年1月6日、「国民が出来レースと受け取る可能性がある」と発言したのだ。オリックスへの施設売却は、日本郵政がかんぽの宿を別会社に会社分割したうえで譲渡する計画だが、会社分割には総務相の認可が必要となるため、俄然、雲行きが怪しくなった。鳩山総務相は「おかしなことがあれば、分社化を認可しない可能性は十分にある」と揺さぶりをかけたのだ。

   9日の衆院予算委で、鳩山総務相は「一番大事なのは李下に冠をたださないことだ。なぜ安売りするのか。おかしなものはおかしいと言っているだけだ」と、語気を強めた。参考人として登壇した日本郵政の西川善文社長は「かんぽの宿は不採算部門で、持てば持つほど負担がかかる。早く売却できるのであれば、譲渡してしまいたい」と語るのが精一杯だった。

   さらに、13日の衆院総務委員会で、改めて手続きの不透明さを指摘し、「今は全く認可する気持ちはない」と述べた。総務相が不認可の方針を示したことで、計画の見直しに追い込まれる可能性が出てきた。

   鳩山総務相は08年末の時点では、かんぽの宿のオリックス売却に関心など示していなかった。それが年明け早々、攻勢に打って出たのは、郵政造反組から首相補佐官となった山口俊一氏の「入れ知恵」ではないかと、霞が関や永田町ではささやかれている。目的は、小泉政権時代の負の遺産を浮き彫りにし、政府の郵政民営化委員会(田中直毅委員長)が今春までに首相に提出する具体的な見直し論議を有利に進めるためと見られている。

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