「市況の環境が大変厳しい」
この「液晶テレビ不況」は、日本のメーカーも直撃している。
例えば、シャープは08年12月12日、テレビ向けパネルを製造している亀山第1工場(三重県亀山市)の操業を09年1月から一時停止、改造することを発表した。中小型液晶パネルを生産している三重工場(三重県多気町)と天理工場(奈良県天理市)の旧式ラインの一部を閉鎖し、両工場で生産していた分を亀山第1工場に移転する計画だ。
井淵良明副社長は、記者会見の場で
「市況の環境が大変厳しく、液晶パネルの余剰感もある。液晶パネル工場の再編に着手するには絶好のチャンス」
と述べ、工場再編には生産調整の意味合いがあることを示唆した。
同社は、08年10月6日には、08年度の連結純利益の見通しを、1050億円から600億円に(上期では445億円から250億円に)大幅に下方修正したばかり。その理由としては、通期については「携帯電話や、それに関連する電子部品事業を中心に厳しい経営環境が続くと見込まれるため」と、あくまでも「携帯事業が『主犯』」との見方だが、下期については、「液晶パネルの価格下落と収益低下」については見方を明らかにしていない。
さらに、翌08年11月には、液晶パネルをめぐる国際的な価格カルテルで、米司法省に対して罰金1億2000万ドル(107億円)を支払うことを発表。罰金として支払う金額は、08年10~12月期に、特別損失として計上する。
「泣きっ面に蜂」とばかりに、液晶関連事業をめぐる業績悪化は避けられない状況だ。
液晶関連でダメージを受けているのは、シャープにとどまらない様子だ。シャープと液晶パネル工場の共同出資を計画しているソニーも09年1月13日、08年度の営業損益(米国会計基準)が1000億円規模の赤字に転落する見通しが明らかになったばかりだが、その背景には、北米市場での液晶テレビの販売不振が指摘されている。
液晶テレビを柱として収益をあげてきた日本の家電業界にも、業績悪化の波がやってきたことが浮き彫りになった形だ。