個人マネー 「安全、確実」定期預金にシフト 

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   米国発の金融危機で株価や為替相場が大混乱するなかで、個人マネーが銀行の定期預金など安全、確実な資産運用に流れている。米国に倣えとばかりに政府が掲げた「貯蓄から投資へ」には逆行するが、この流れは当分変わりそうにない。

サブプライム問題発覚後に伸び始めた定期預金

   株式や投資信託に投資していた個人マネーが、元本が保証されている銀行の定期預金に戻ってきている。2009年1月13日に日本銀行が発表した「マネーストック速報(2008年12月)」によると、08年は銀行の定期預金などの「準通貨」が前年比1.8%増えて、17年ぶりに高い伸びとなった。

   定期預金は日銀が量的緩和政策を解除した06年春に底を打って以降、07年夏のサブプライム問題発覚後に伸び始めた。08年12月単月でみても、前年に比べて2.4%も伸びた。前年比2.0%超の伸びは08年7月以降続いており、株安と円高、景気後退などの影響で個人マネーが「安定資産」へとシフトしていることを裏づけた格好となった。

   日銀によると、08年11月末の個人の定期預金残高は約190兆7000億円に上る(ゆうちょ銀行などを除く)。定期預金の増加は、「貯蓄から投資へ」の流れが遅れていた地方部ほど顕著で、08年11月とその前月と比べると、関東と東北を除く7地域で増えていた。

銀行にますます個人マネーが集まる

   一方、株価の下落に伴って投信販売は急ブレーキがかかった。投資信託協会によると、08年11月の公募株式投信の純資産残高は40兆5857億円で、前月に比べて3.7%減った。残高はピークだった07年10月に比べると、40%超の落ち込みだ。

   政府が個人の資産を銀行の定期預金などの貯蓄から、株式や投信などの投資へと振り向けようと、「貯蓄から投資へ」の方針を打ち出したのは、2002年の小泉内閣のとき。それもあって、銀行はここ数年、投信販売に力を入れてきた。

   いまの銀行にとって預金の増加は、預金保険料の負担増や健全性を示す自己資本比率の低下、さらに金融庁からは「資金が潤沢にあるのであれば、中小企業向け融資を伸ばせ」と尻をたたかれることになるので、いいことはない。預金は「負債」でしかなくなっている。

   本来であれば、銀行が経営破たんすると1000万円を超える預金とその利息は保護しない「ペイオフ」が発動されるが、健全な銀行にも公的資金を資本注入する改正金融機能強化法が08年12月に施行され、銀行が破たんする前に救済するセーフティネットが整った。

   かつての金融危機の時代には「高金利=危ない銀行」のレッテルが貼られたが、改正強化法によって「銀行の不倒神話」が復活。安心して預金できるので、銀行にはますます個人マネーが集まりそうだ。

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