銀行にますます個人マネーが集まる
一方、株価の下落に伴って投信販売は急ブレーキがかかった。投資信託協会によると、08年11月の公募株式投信の純資産残高は40兆5857億円で、前月に比べて3.7%減った。残高はピークだった07年10月に比べると、40%超の落ち込みだ。
政府が個人の資産を銀行の定期預金などの貯蓄から、株式や投信などの投資へと振り向けようと、「貯蓄から投資へ」の方針を打ち出したのは、2002年の小泉内閣のとき。それもあって、銀行はここ数年、投信販売に力を入れてきた。
いまの銀行にとって預金の増加は、預金保険料の負担増や健全性を示す自己資本比率の低下、さらに金融庁からは「資金が潤沢にあるのであれば、中小企業向け融資を伸ばせ」と尻をたたかれることになるので、いいことはない。預金は「負債」でしかなくなっている。
本来であれば、銀行が経営破たんすると1000万円を超える預金とその利息は保護しない「ペイオフ」が発動されるが、健全な銀行にも公的資金を資本注入する改正金融機能強化法が08年12月に施行され、銀行が破たんする前に救済するセーフティネットが整った。
かつての金融危機の時代には「高金利=危ない銀行」のレッテルが貼られたが、改正強化法によって「銀行の不倒神話」が復活。安心して預金できるので、銀行にはますます個人マネーが集まりそうだ。