プラチナ価格が急回復している。2008年6月に付けた1グラムあたりの平均価格7079円から半値以下にまで落ち込んだが、新年を迎えて「買い」が旺盛で値を戻してきている。「買い」の主役は個人。「リーズナブルな価格になってきた」(田中貴金属工業)こともあり、投資用、ジュエリーともに売れ行きは好調だそうだ。
2009年1月9日のプラチナの小売価格は前日比13円高の1グラムあたり3167円で、この1か月で最も高い水準にまで戻ってきた。08年6月に1グラムあたり7079円あったが大暴落。08年11月21日には2576円と落ち込んだ。
プラチナ価格は世界的な金融危機によって、投資用としてファンドが購入していた分が一気に放出されたことが大暴落の引き金となったが、その後も自動車メーカーの相次ぐ減産体制の発表などが追い討ちをかけて、瞬く間に冷え込んだ。
店頭に個人客「値段リーズナブルになった」
しかし、08年12月下旬ごろからジワジワと戻して、この10営業日ほどで500円弱上昇した。田中貴金属工業によると、「販売店には、投資用、ジュエリーを問わず買い求める人が増えています」と、個人が「けん引役」を果たしているという。
ファンドからの買いも入らず、自動車の触媒用はさっぱり。「景気後退で個人の買い意欲が冷え込んでしまうものではないか」と、まだまだ不安要素はあるが、「個人客は(値上がり)期待が大きいようです」としている。
「買い」を支える、もうひとつの要因には「中国の需要増」がある。旧正月を迎えるにあたり、宝飾用を中心としたプラチナ需要が高まっているのだ。