「こんにゃくゼリー」メーカー最大手、マンナンライフが出荷を再開してから1か月以上経過したが、前年比の数字を公表できないほど悪い売れ行きだという。大手スーパーが「安全であるという証明が不十分だ」として扱いを見合わせているからだ。同社にはファンから「どこに行けば買えるのか」という問い合わせが相次いでいる。
3万もの製造中止反対署名が集まった
同社の「蒟蒻畑」製造中止は、2008年9月に、凍らせた一口タイプのゼリーを 1歳10か月の男児が飲み込んで窒息、死亡した事故がきっかけ。野田聖子消費者行政担当相が08年10月2日、マンナンライフの鶴田征男会長らを内閣府に呼び、再発防止策の提示などを求めた。国民生活センターによればこんにゃくゼリーをのどに詰まらせ死亡する事故は95年以降17件目。マンナンライフは08年10月8日に「蒟蒻畑」の製造販売一時中止を発表した。
ただしネットでは、「こんにゃくゼリーだけを悪者にするのはおかしい」といった議論が沸騰する。事故で窒息死するのは「もち」「米」「パン」などの方が絶対数としてははるかに多い、などが理由で、署名サイト「署名TV」には、こんにゃく入りゼリーの販売中止に反対する署名の呼びかけが始まり、トータルで3万を超える署名が集まった。
そこには、
「ダイエット中なので蒟蒻畑は、無くてはならない物です」
「商品が悪いんじゃなく、食べ方が悪いと思います!!!」
といったコメントが寄せられ、マンナンライフにも、「普通では考えられない数の激励の声」(同社)が寄せられた。
「どこに行けば買えるのか」という問い合わせが相次ぐ
製造販売が再開されたのは08年11月26日。店頭には12月5日ごろから並んだ。事故防止のため、コンニャク粉の割合を減らし、詰まりにくいように軟らかくしたほか、袋には小さな子どもや高齢者に食べさせないよう大きな注意書きを載せ、個別のカップにも警告マークを記載した。「凍らせるな」との警告も追記した。販売の再開を待つ人は多く、ネットでは販売再開後「買ってきましたー!!」などの報告が相次いでいた。
それから1か月、売れ行きはどうなっているのか。同社にJ-CASTニュースが取材したところ、前年比の数字を公表できないほど「かなり苦戦している」状態なのだという。原因はイトーヨーカ堂、イオン、ダイエーといった大手スーパーが販売を停止しているからだ。スーパー側から「安全性がまだ証明されていない」と言われているそうで、同社にはお客から「どこに行けば買えるのか」、という問い合わせが相次いでいる。
「商品を置いてもらっている店舗での売れ行きは順調なのですが、大手スーパーとの取り引きが中断していることが相当響いています。今後も販売を再開して頂けるように説得を続けていきたいと考えています」