モノの値段が下がってきて、日本経済はかつての「デフレスパイラル」が思い起こされる状況に入りつつある。原油価格もすでにピーク時の4分の1にまで大きく下落、さまざまなモノやサービスの値段も下落基調に転じている。消費者は日々の生活必需品にも「より安価なモノ」を求め始めた。
11月の消費者物価指数は前月と比べると0.8%下落
かつて日本経済が陥った、「モノが売れない」→「企業の収益減少」→「生産縮小・人員削減」→「さらにモノが売れなくなる」という、デフレスパイラルの再来がささやかれている。
原油価格が高騰するにつれて、さまざまなモノの値段が上昇した2008年夏までとうって変わって、08年秋以降は急激な株安と円高の影響で企業の業績が悪化。生産調整や人員削減といったリストラへの不安から消費者の購買意欲は大きく後退した。
とにかく、最近は「低価格」や「値下げ」「減少」の文字をよく見かける。ガソリン価格は1リットル90円台に値下がり。プラチナの価格もピーク時の半値に下がった。家電製品も売り上げは減少。売れているパソコンも「5万円PC」と呼ばれる低価格モノだ。百貨店の12月の売上げは、伊勢丹や高島屋、松坂屋などで前年同月に比べて2ケタ減。クリスマスに年末と、12月は例年かきいれどきだけに、百貨店のダメージは小さくない。
当初は「円高還元」を謳って値下げセールを展開していた大手スーパーも、キーワードを「不況脱出」に切り替えて、安価な生活必需品を取り揃えるようになった。女性に人気のエステサロンやネイルサロンなどのサービス価格も値下げ競争がはじまっている。
総務省が昨年12月26日に発表した11月の消費者物価指数(CPI、2005年=100)によると、生鮮食品を除く総合指数は101.6で、前月と比べると0.8%下落した。前年同月比の増減率が前月を下回ったのは3か月連続で、物価の伸びが急激に鈍化している。