過去最大規模とも言われる9大産業振興計画(2009-2011年)が、2009年1月初めに公表される見通しだ。鉄鋼、自動車、造船、石油化学、軽工業、紡績、非鉄金属、装置製造とITの9分野である。これまで打ち出された経済刺激策はインフラ中心で、工業部門へのてこ入れこそが急務だという声が高まっていた。
11月から状況が一変、経済が急激にダウン
2008年11月に4兆元(約60兆円)にも上る経済刺激投資の方針が打ち出されると、北京長安通りの西側にある三里河周辺のホテルや民宿はあっという間に全部満室になった。日本の経済産業省、財務省などにあたる国家発展改革委員会(発改委)の本部はここにあり、各地方自治体の経済担当要員は、少しでも多くの資金を配分してもらうため、三里河に押し寄せたからだ。彼らは、11月9日からほとんど不眠不休で投資計画、中央政府に要望する資金配分書を作った。
世界的な金融危機が起きたといっても、多くの中国人は10月までは経済状況が急変したという感じがしなかった。しかし、11月から状況が一変した。車の売れ行きが怪しくなり、加えて08年下半期から鉄鋼、石炭などの在庫がふくらんだ。上半期にはあれほど不足していたというのに。4兆元の刺激投資はこれを受けて出された。
中国社会科学院工業経済研究所の張承耀研究員は、『中国経営報』の取材に答えて、「4兆元の投資は主に交通や社会インフラや農業などに当てる。工業そのものへの投資は少なかった」とし、経済刺激策の不備を指摘した。むしろ工業部門を至急立て直さなければならない、というわけだ。
前年同月比でみると、輸出は08年10月の19.2%増から11月の-2.2%に下落し、輸入も10月15.7%増から11月の-17.9%に急降下した。「史上まれな現象」(『中国経営報』2008年12月22日付け)だった。
一刻の猶予もならない、と12月12日から14日にかけて発改委は、経済担当の副知事と各地方の発改委の官僚を北京に呼び、9大産業の振興計画について議論した。
鉄鋼や自動車などの9大産業は、中国GDP(国内総生産)に占める比率が三割を上回っている。とりわけ軽工業は従業員の数だけでも2000万人を超え、2億以上の農民が関連企業で働いている。