原油は2009年も「ジェットコースター」のように動く可能性
原油については中東の政治状況や埋蔵量などの不確定要因があまりにも大きいため「妥当な価格」を知るのは極めて難しい。ただ、それにしてもあと数十年で枯渇するといわれる鉱物資源の価格が、1バレルあたり30数ドルというのはさすがに低すぎる。
これをもたらした最大の要因は、現在の市場価格が市場関係者の短期的な心理状態をあまりにも反映しているところにある。このところ、OPECが減産を発表したとか、株価が下がった、というニュースが報じられるたびに原油価格がますます下がる、という状況が繰り返されている。
しかし本来は、産油国が減産すれば需給が逼迫して価格を押し上げるはずだし、原油価格と株価は原理的に逆相関であるはず(原油価格の下落は企業の利益を押し上げるため)なので、こんな状況は本来おかしい。つまり、現在の価格変動はファンダメンタルではなくバブルの収縮によるものなのだ。
したがって、今後何かのきっかけでまた原油価格は上昇していくとみてよいのではないか。さらにいうと、2008年と同様に100ドルを超えて、その直後に50ドルに落ちる、などといったジェットコースターのような動きをする可能性もあると思う。「原油の価格が下がってひと安心」などと言っている場合ではないと考える。
++ 枝川二郎プロフィール
枝川二郎(えだがわ じろう)国際金融アナリスト
大手外資系証券でアナリストとして勤務。米国ニューヨークで国際金融の最前線で活躍。金融・経済のみならず政治、外交、文化などにもアンテナを張り巡らせて、世界の動きをウォッチ。その鋭い分析力と情報収集力には定評がある。