毎日新聞「変態ニュース」事件半年 ネットに「火種残されたまま」

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   J-CASTニュースが、毎日新聞の英語版ニュースサイト「毎日デイリーニューズ」で長年にわたって、異常な性的嗜好を話題にした記事を配信していた事実を報じてから、半年が過ぎた。この事件は、「低俗すぎる」「日本を貶めた」などとしてネットユーザーの「怒り」に火をつけ、毎日新聞の広告主に抗議の電話をする「電凸(でんとつ)」が相次いだ。一時消えた広告は戻りつつあり、表面的には収まったかに見えるが、その後も掲載した記事に関連して、同社の「ネット感覚」や報道姿勢に批判が出ており、「火種は残されたまま」になっている。

「マイノリティの意見として高をくくらずに対処した方がいい」

問題になった「毎日デイリーニューズ」の「WaiWai」
問題になった「毎日デイリーニューズ」の「WaiWai」

   2008年9月25日に開かれたマスコミ倫理懇談会の分科会「ネット社会とメディアの倫理」で、この問題が取り上げられた。同会によれば、徳島新聞の記者出身で著名ブロガーの藤代裕之さんが「電凸がどんどん広がり、マスコミが攻撃を受ける事態が広がりつつある」などと指摘。ライブドア広報部長を務めた、ウェブコンサルタントの伊地知晋一さんが、既存メディアへのネットでの攻撃をマイノリティの意見として高をくくらずに対処した方がいいとアドバイスし、「2ちゃんねるを1000万人が見ていることは直視すべきだ」などと話した。

   同会では、毎日新聞社にこの分科会に参加するよう要請したが、同社からは、

「まだ収束しておらず社としてなすべき事は山積している。現段階での出席は時期尚早で、しかるべき時に会員として経過を報告したい」

といった内容の回答が寄せられたという。

   ITジャーナリストの井上トシユキさんは、毎日新聞の「変態ニュース」事件について、ネットでよく使われる「マスコミ」と「ゴミ」の造語「マスゴミ」という言葉を使って、

「『2ちゃんねる』などでは、もともと毎日新聞などマスコミに対して、ちゃんと情報を開示しない、偏向的な報道しかしないという理由で、『マスゴミ』という受け取られ方をしていた。今回の問題は、格好の燃料投下になり、毎日新聞=『反日』メディア、というイメージを強化してしまう結果になった。未来永劫とは言わないまでも、毎日新聞は『マスゴミ』代表としてアイコン化されてしまい、まさに(ネットユーザーが反撃する)火種は残ったままだ」

と指摘する。

   井上さんの指摘のように、毎日新聞の「ネット感覚」に変化はないようだ。08年11月19日には、元厚生事務次官宅が相次いで襲われた事件前に、インターネット上の百科事典「Wikipedia(ウィキペディア)」に、犯行を示唆する書き込みがあったと毎日新聞が誤って報じ、問題になった。書き込みは事件後にされたものだったため、同紙はお詫びと訂正を行った。しかし、その一方で、訂正後もこの書き込みをしたユーザーを「犯行示唆と受け取れる書き込みをしたとする人物」、書き込みについては「問題の書き込み」と表現した記事を掲載するなど、いわば「ネットへの敵意」さえ感じられる姿勢さえとっている。そして、書き込みを行ったユーザーが、毎日新聞社に抗議し、その顛末をネット上で暴露するという事態も発生した。

「ネットVS毎日」の対立構図は相当根深いもの

   前出の井上トシユキさんは、「毎日新聞の現場の記者には、ネットをツールとして有効に使おうという記者もいる。ネットと現実社会と橋渡しとなるような取材をして、イメージを覆すように期待したい」と話すが、ネット上では毎日新聞は常に批判の槍玉に上がり、「ネットVS毎日」の構図は相当根深いものになってきていることは否めない。

   問題となったのは、毎日新聞の英語版サイト「毎日デイリーニューズ」の「WaiWai」というコーナー。「六本木の富裕層向けレストランで、弁護士が豚を獣姦し、その後料理としてその豚を食べた」という話や、ファストフードを食べると神経の中枢のコントロールできなくなりセックス依存症になるなどという説を紹介して、日本の女子高生の性の乱れを指摘する記事のほか、息子の成績を上げるために息子の性処理を勉強前に行う母親を取り上げた記事、などを7年以上にわたって配信していた。

   J-CASTニュースが2008年6月20日に「毎日新聞英語版サイト 『変態ニュース』を世界発信」と題した記事でこの事実を報じてから、問題が表面化。同社は、08年6月21日に「WaiWai」を閉鎖し、6月23日には「批判をいただきました記事へのおわびを申し上げます」と同サイトで謝罪。7月20日に新聞紙上で「お詫び」と内部調査結果を掲載している。

   この問題は巨大掲示版「2ちゃんねる」でも大きな話題になり、書き込みが殺到する「祭り」に発展。ネットユーザーが毎日新聞の広告主に抗議の電話をかける「電凸(でんとつ)」と呼ばれる行為も行われた。ネットユーザーが作成する「まとめサイト」などでは、「電凸」の結果、広告主がどのような対応をしたかも詳細に記され、その対応の評価付まで行われるようになった。その結果、日本語版ニュースサイト「毎日jp」の広告が激減、自社広告しか掲載されない事態にまで発展した。

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