予想をはるかに上回る速度と震度 1975年以来の日本経済落ち込み

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   日銀の2008年12月企業短期経済観測調査(短観)によると、大企業・製造業の業況判断指数が9月調査比21ポイント下落のマイナス24と大幅悪化した。下落幅は第1次石油危機直後の1975年2月調査と並ぶ過去2番目の大きさ。米国発の金融危機が日本経済を直撃し、石油危機に匹敵するようなパニックが襲った格好で、景気後退は予想以上の深い谷に落ち込みかねない。

自動車・電機・一般機械の「御三家」が全滅

   9月調査時点で業況判断指数の3カ月先の予測はマイナス4。9月調査比1ポイントの小幅悪化と見込んでいたが、実際はITバブル崩壊直後の02年3月(マイナス38)以来6年9カ月ぶりの低い水準まで落ち込んだ。

   9月調査は米リーマン・ブラザーズが破綻した9月15日より前の回答が多く、金融危機の影響を完全に反映した短観は初めて。危機が予想をはるかに上回る速度と震度で日本経済を揺さぶり、企業の景況感を急速に冷え込ませたことを鮮明にした。

   12月短観の特徴は「景気回復をけん引した『自動車・電機・一般機械の御三家』が全滅したこと」(エコノミスト)だ。3業種の業況判断指数はそろって20ポイント以上急落し、特に自動車は46ポイント下落のマイナス41と過去最大の悪化幅で99年6月以来9年半ぶりの低水準。海外経済の悪化や円高が大打撃となり、09年3月の見通しもマイナス68と惨たんたる状況だ。

   輸出産業の大幅悪化は関連産業への波及が必至。鉄鋼は今回プラスを確保したが、09年3月は一気に56ポイント下落のマイナス44を見込む。自動車や電機などの減産が続き、鋼材などの需要低迷が避けられないためだ。

   もう一つの特徴は、雇用や設備の過剰感が表面化したことだ。大企業・製造業で雇用が「過剰」と回答した企業の割合から「不足」と回答した割合を引いた指数はプラス8と「過剰」が「不足」を上回り、04年6月以来6年半ぶりの高水準となった。

09年度もマイナス成長との予測が大勢

   大企業は90年代のバブル崩壊後の雇用や設備の過剰をリストラで解消し、今回の景気後退は当初、浅いとの見方が強かった。だが、雇用や設備が再び過剰に転じ、企業は相次いでリストラに乗り出しており、景気後退を深刻化させる「危険水域」に入りつつある。

   第1次石油危機直後の短観は大企業・製造業の業況判断指数が74年8月調査で26ポイント下落と過去最大の悪化幅を記録し、75年5月調査でマイナス57と過去最低の水準を記録した。今回の短観はそこまで落ち込んではいないが、3カ月先の予測はマイナス36と一段と悪化する。

   金融危機の収束にはめどが立たず、市場では「08年度に続き、09年度もマイナス成長」との予測が大勢。「企業の生産への影響は石油危機を超えた」(アナリスト)との分析もあり、石油危機並みの景気後退に陥る可能性は否定できない。

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