伊藤ハムは2008年12月26日、同社東京工場(千葉県柏市)が基準を超えるシアン化合物を含む地下水を使用していた問題で、朝日新聞、日経新聞に「お詫び」広告を掲載し、「多大なるご迷惑とご心配をおかけしました」と謝罪した。
同社が設置した第三者調査委員会(委員長・藤巻正生東京大名誉教授)が08年12月25日に明らかにした調査報告書によれば、東京工場の3つの井戸で08年6~9月に塩素酸が基準を超えていたため、水質検査担当者が塩素酸の発生を抑えようと故意に消毒薬を減らしたため、シアン化合物が発生した可能性があるという。
2008年度から塩素酸の基準値は1リットル中0.6mg以下と定められ、伊藤ハムでは08年2月から処理水の塩素酸の測定を開始。6月~9月の計6回の調査で基準値を超える塩素酸が検出されたことが判明した。このため、水質検査担当者は、08年9月以降に、次亜塩素酸ナトリウム注入量を、塩素酸の上昇を抑えるために、従来の半分低度まで減少させた。この結果、塩素酸は基準値内にほぼ収まったが、シアン化合物を生じやすい塩素酸濃度になったという。
また、同委員会は、新聞報道にあった「毒ガスによる汚染の可能性」「集中豪雨での汚染水流入による汚染の可能性」は否定している。
伊藤ハムは2008年12月22日、経営者の責任を明確にするなどの理由で、河西力社長を30%の減俸とし、基準値を超えたことが分かりながら報告が遅れたなどの理由で、東京工場長などを降格の処分などにしている。
同社は2008年12月25日現在、検査で異常のあった水源の地下水を使用した商品168万個を回収している。