テレビ不況で、番組を作る制作会社にそのツケが回ってきている。最大で制作費を3割ほどカットされる会社があり、近く10社ぐらいがつぶれるとの噂も出ている。制作サイドの反発を考えてか、テレビ局側も、社員を子会社に転籍させて給与を引き下げる方向のようだ。
制作会社社長の自殺、コスト削減も影響?
昼ドラを止める方向とされるTBS
「経済状況がこの2か月で変わってきて、厳しいのは事実です。7、8%から25%までは、どこもカットされているようですよ」
テレビ番組の制作会社関係者は、こう明かす。
震源地は、テレビ局の広告収入激減だ。不況の影響が大きく、民放キー局は2008年秋、軒並み減益を発表した。さらに、大口スポンサーのトヨタが赤字に転落する見込みとなり、テレビ界に激震が走っている。
制作費カットが始まったのは、08年春ごろからともされる。フジテレビが、ドキュメンタリー番組「ザ・ノンフィクション」の予算75%カットを制作会社側に通告したのがその一つだ。これに対し、制作会社で作る全日本テレビ番組製作社連盟がフジに抗議し、フジは譲歩して50%ほどのカットで抑えた。それでも苦しいが、関係者は「だいぶ譲歩してもらった」と話す。
ところが、9月に入って金融危機で大不況の様相に。そして、同月下旬には、「ザ・ノンフィクション」や日本テレビの「天才!志村どうぶつ園」を手がける制作会社の社長が自殺してしまった。週刊ポスト08年10月17日号によると、日記などで経営難の悩みを打ち明けていたという。実際、ある大手芸能プロの幹部は、J-CASTニュースの取材に対し、「いくつか自殺の要因があるでしょうが、テレビ局の制作費削減とも関係があると聞きます」と明かす。
この幹部は、「芸能プロもけっこう厳しいですが、一番大変なのは制作会社です。平均で10%はカットされているといいますからね」と言う。さらに、こんな衝撃的な予言もしたのだ。
「近いうちに10社ぐらいつぶれるという話ですよ」
民放キー局でリストラ、子会社転籍の可能性
制作費カットで、テレビ番組も様相が変わってきている。
TBSは、2009年4月の番組改編で、平日のゴールデンタイムに2時間のニュース番組を始めることを明らかにした。背景には、ロケ費用などがかかるドラマなどを控えるようになったことがあるとされる。さらに、前出の芸能プロ幹部によると、4月改編では、昼ドラを止めて情報番組に変えてしまう方向だというのだ。
日本テレビも、4月改編で、平日のゴールデンタイムに1時間のニュース番組を始める方向だと報じられている。芸能プロ幹部は、テレビ東京でも、2時間ドラマの枠をなくす方向で検討していることを明らかにした。
さらに、ギャラの高い大物タレントも次々に切られるとする。
「TBSの『どうぶつ奇想天外!』など、みのもんたさんの番組は、2つは減ります。年配の方は切られるでしょうね。代わりに、お金のかからない局アナのほか、医者や評論家、作家といった文化人にシフトしていきます。番組の質に関わるので、お笑いタレントばかりは使えませんからね」
いずれにしても、制作会社、芸能プロには厳しい内容だ。
とはいえ、テレビ局も、「下請けイジメ」との批判が相次いでいることに配慮してか、ようやく自らのリストラに着手するようだ。芸能プロ幹部は、こんな見通しを明かす。
「いくつかの民放キー局で、来春から、部長待遇になる社員を対象に、系列の子会社に転籍させると聞いています。そして、年俸1800万円なら1620万円へと給与を減らすといいます。拒む社員には、『イヤなら辞めてください』と迫るそうですよ」