現地に行かなくてもネットで行った気分に??
若者が旅行しない理由は、「お金がないから」「不況で節約志向になっている」などと言われている。ある業界関係者は、こうみている。
「若者にお金がないのは昔から同じで、むしろ今の方が飛行機代は安くなり、旅行に行きやすくなっています。理由はお金ではなく、ネットでいろんな情報が入るようになり、現地に行かなくても行った気分になれて、結果的に旅行への関心が薄れてしまったのではないか、と業界内で危惧しています」
月間300万人が利用している旅行の口コミサイト「フォートラベル」。会員の属性をみると、10歳代が4%、20~24歳が6%で、ネットをよく使うはずの10歳代から20歳代前半が少ない。もっとも多いのが30~34歳で21%、次いで25~29歳が20%と続く。
海外旅行をしたことがほとんどないという20歳代の社会人(女性)は、その理由を説明する。
「まったく興味がないというわけではありませんが、予定を組んで、チケットを手配して・・・といった手間を考えると、面倒で行く気になりません。わざわざ海外に行かなくても東京で色々なものが買えるし、どうってことないです」
20歳代の学生(女性)は、
「私は好きなのでよく旅行しますが、友達なんかは行く人と行かない人とはっきりわかれるようです」
と話している。
「ムエタイ体験」(タイ)や「ハングル語レッスン付 韓国人学生と交流体験」(韓国)など、若者向けのツアーを販売している旅行会社大手のH.I.Sは、
「観光だけでなく、現地でしか体験できない『何か』を組み込むなど、海外に行く意味・価値をより感じていただけるように意識した商品を企画しています。『海外に行くこと』よりも、そこで『何ができるか』『何をするか』が、若者の心をつかむポイントになっています」
と話している。