萌(も)え系美少女のイラストをパッケージに使った「あきたこまち」が飛ぶように売れ、2008年12月19日までに計36トンを出荷した。ネット販売が中心だが、中には東京や奈良から産地秋田県羽後町の農協に買いに来る人もいる。高齢化が進む町に活気が出てきたことも手伝って、「このチャンスを逃す手はない」とイベントの企画も進んでいる。
これほど注文がくるとは思わなかった
萌え系美少女のイラストが描かれた「あきたこまち」が大人気!
「こんなの見たことない」と話題になっている「萌え米」は、秋田県羽後町産「あきたこまち」の新米だ。人気イラストレーターの西又葵さんが米袋のパッケージを描いた。稲穂を手にした市女笠(いちめがさ)の美少女に、羽後町の象徴である「梅」と「うぐいす」をデザインした。
2008年9月22日から「JAうご」のホームページで販売を開始すると、またたく間に注文が舞い込んで、11月末までに3300件(総量32トン)、12月は19日現在で400件(総量4トン)に達した。
「これほど注文がくるとは思わなかったので、びっくりしました。3年かけて売れる量が3か月で売れました」
と話すのは、JAうご営農販売課の佐々木常芳課長だ。
販売開始後5日間は注文が殺到し、1日で1200件になる日もあった。受注・発送業務が追いつかず、一時期、受付をやめたほど。10月末までパッケージと同じイラストが描かれたクリアファイルを購入者にプレゼントしたのも好評だった。今もメディアで紹介されると、翌日50~60件の注文がくる。
購入者の9割は県外に住む20歳代から30歳代前半の男性だが、なかには中学生や主婦、70歳過ぎのお年寄りもいた。
JAうごの窓口でも販売していて、東京、奈良、宮城からわざわざ買いに来た若者もいる。
「町内でイベントをやっているというわけでもないのですが、なぜか来ました。数人のグループだったり、1人だったりと、いろいろです。オタクと呼ばれる人たちですが、思っていたより明るくて、礼儀正しい好青年でした」
50キロ近くも購入し、宅配便で送る人もいた。大半がパッケージ目当てだが、若者に米を食べてもらえるきっかけにはなったらしい。
ところが、販売する前は「中身を捨てる人がいるんじゃないか」という心配もあった。実際に「秋葉原は米の捨て場になる」という中傷メールもきた。ほかにも「ゲームで女性の裸を描いている作家のイラストと、米を一緒にするとは何事だ」などといった具合に、批判もあったと明かす。
「今のところ、米が捨てられているという話は聞きませんし、米がまずいという批判も1件もありません。むしろ、おいしかったので家族で食べている、リピート買いする、といったメールが来て、購入者のうち70人が年間契約に切り替えています」
と話し、一安心の様子だ。