宮城県が進めている県立高校の一律男女共学化をめぐり、地元で大きな騒動になっている。県教育委員会では、すでに6年前に共学化の方針を決定していたが、県立高校の同窓会などがこれに反発。教育委は計画を変更しない方針だが、「共学化見直し」を主張する教育委員も出始めたほか、反対集会も行われるなど、波乱含みだ。
教育委員の一人が一律共学化の見直しを表明
宮城県教育委が2008年12月17日に開いた教育委員会定例会で、仙台一高・宮城三女高の同窓会、NPO法人・宮城教育ネットなどが08年10月に提出した、一律共学化の凍結を求めた請願書の取り扱いについての協議が行われ、教育委員の1人が一律共学化の見直しを表明し、結論は09年1月に延期されることになった。
「教育委員からもそういった声が出るのは初めてではないか」(県関係者)
県教育委は02年3月に、公立高校で男女の性差で入学を制限するのは好ましくないとして、県立高校の男女共学化をすでに決定している。共学化は仙台二高、宮城一女高ですでに実施が進んでいる。その一方で、母校の存続に危機感を持った同窓会などが反対活動を展開。仙台一高の同窓会は、同窓生や生徒約800人が参加する反対集会を開いて抗議した。
宮城教育ネットが08年9月に実施した1000人を対象にした意識調査では、「共学高、別学高を選択する自由があった方が良い」と回答する人が76.1%に上り、「すべての県立高を共学高にした方が良い」は21.3%という結果だった。
このアンケート結果を受けて、08年11月には梅原克彦仙台市長(仙台一高卒)が、県民の意識と県教育委の方針が乖離しているなどとして、「共学校と別学校の選択の自由が完全に奪われている現状は見直すべき」と発言した。また、06年10月末には、仙台二高の同窓会長の西澤潤一氏(首都大学東京学長)が、「共学化で学力が低下する」などとして、男女別学高の存続を求める要請書を村井嘉浩知事あてに提出するなど、「共学化反対」の声は小さくない。一方で、男女共学化を求める市民団体が県教育委に、共学化を予定通り進めるよう求める要望書を08年12月15日に提出している。