ソニーが液晶テレビやデジタルカメラなどを扱う「エレクトロニクス事業」について、2009年度末までに、全世界で計1万6000人以上の従業員を削減すると発表し、内外に波紋を広げている。クリスマス、年末商戦シーズンが幕開けするなか、9月の米証券大手リーマン・ブラザーズの破たんを機に高まった金融危機とそれに伴う世界的な消費低迷が深刻な影響を及ぼしていることがいよいよ鮮明になってきた。
国内の工場も閉鎖対象になる見通し
景気悪化でソニーのもくろみは崩壊
ソニーの大規模な人員削減は、「デジタル家電製品などの世界需要が急速に落ち込んでいることが要因」(同社)という。ソニーは、赤字続きだった液晶テレビ事業で改革を進めており、これまでは「09年3月期には黒字化する見通しがたった」と自信を見せていた。しかし、9月以降の景気の急激な悪化は液晶テレビやデジカメ市場を襲い、ソニーのもくろみは一気に崩壊した形だ。
人員削減の対象となるのは、エレクトロニクス事業の正規社員16万人の約5%に相当する約8000人と、派遣社員など非正規雇用の従業員8000人以上という。同事業は、ソニーの全従業員の約9割を占める主力事業であることから、関連の部品メーカーなどへの影響も避けられないとみられ、国内の雇用情勢にも深い影を落とす可能性が高い。
人員削減と同時に、ソニーは09年度のエレクトロニクス事業の投資額を中期計画(08~10年度)より約3割削減する計画だ。さらに、09年度末までに、国内外の製造拠点計57カ所の約1割に当たる5~6カ所を閉鎖するという。米ピッツバーグ(ペンシルベニア州)の液晶テレビ工場の製造を09年2月末に停止するほか、国内の工場も閉鎖対象になる見通しだ。