「進出地域では、車の数が足りないぐらい」
MKタクシーの増員計画について、国土交通省の旅客課では、「実現できるかどうかは、事業者の判断ですので、お答えしづらい」とする。しかし、同省では、供給過剰を問題とみて、減車調整を可能にする再規制の法制化を2009年秋にも予定している。それだけに、こう苦言を呈する。
「需要喚起策があるのならいいですが、むやみに運転手を増やして、過剰供給に拍車をかけるとしたら問題があります。運転手の給与低下につながる可能性があるので、慎重にやってほしい」
法人や個人のタクシー業界では、車が増え過ぎたとして、規制緩和見直しの要望のため署名活動をしている。これまでに、約80万人が集まったという。これに対し、MKタクシーは逆に、再規制に反対して署名活動を行い、2008年11月11日には、約53万人分の署名を国交省に提出した。今回の増員計画について、同社では、1年後の再規制前に事業を拡大しようとした狙いもあることを認めている。
増員計画発表後は、MKタクシーには、応援メールが数件来ているだけで、今後応募が増えるのかは把握できていないという。しかし、経営企画部では、増員の見通しなどについてこう説明する。
「うちでは利用客からの指名が多く、進出地域では、車の数が足りないぐらいです。利用の半分以上は、指名なんですよ。空港型乗り合いなどの新サービスで、需要も開拓しています。ある程度の台数がないと、利用客に便利ではないので、その点からも規模の拡大は必要です。求人誌の広告やハローワークなどを通じて、運転手らを募集します。国交省の許可のめどがあると考えており、金融機関も実績を見て受けていただけるはずです。サービスや運転手待遇の悪化はないと思っています」