米国発の金融危機の影響で低迷を続ける東京株式市場の日経平均株価が2009年1月に、さらに暴落するという「1月暴落説」が囁かれている。平均株価は8000円を回復、このところ復調の気配も見えるが、それでも「また下がる」「底値は5000円」などと、いまだに「暴落説」があれこれ飛び交う。1月暴落説は本当なのか。
12月の株価上昇はボーナス資金のおかげ
日本の株価もオバマ新大統領の景気対策にかかっている(写真は東証)
2008年12月10日の日経平均株価の終値は前日比264円37銭高の8660円24銭で、3日続伸。背景には、米自動車メーカーのビッグ3救済への進展が期待されることや、アジア株高がある。トヨタやホンダの国内自動車メーカー株も買い戻しが入り、上昇した。
ある証券マンは「12月はボーナス資金が流入するので、どちらかというと上昇基調の年のほうが多い。この冬はボーナスも減ったが、秋以降の株価下落で株に投資してみようか、という気になった人が少なくないのが(いまの株価を)反映しているのかもしれない」と話す。
しかし、株価の乱高下が収まったわけではない。中間決算の発表以降、軟調な金融株は三菱UFJフィナンシャル・グループが12月8日に427円の年初来最安値をつけたばかり。10日も468円(前日比10円高)といま一つ。東京海上ホールディングス(前日比35円安、2310円)や損害保険ジャパン(同7円安、503円)などの保険株も振るわなかった。
「上昇気分」はいまだけ。金融株に限らず、1月に向けて、値下がり銘柄がまだまだ増えそうなのだ。
株価も米国次第、オバマ氏次第?
ここ数年の1月の株価をみてみると、2006年はあの「ライブドアショック」が勃発。新興企業への信用がガタ落ちして05年12月30日に1万6111円43銭あった日経平均株価は、06年1月17日に1万5000円台に割り込んだ。それどころか、東証マザーズやジャスダックといった新興市場はいまだに低迷から脱せないでいる。
06年12月29日は1万7225円83銭。明けた07年1月11日に1万6000円台に下落したが、その後持ち直し3月までは1万7000円台をキープした。
07年夏のサブプライム問題の発覚後、株価は1万5000円台まで下落。そして08年1月4日の株価は、大納会の07年12月28日に比べて616円37銭安の1万4691円41銭。08年は、いきなりの下落ではじまったのだ。
1月の株価は、米国企業の10‐12月期決算が1月半ばから発表されることから、その影響を受けやすい。「1月暴落説」の根拠のひとつはこの決算発表で、米国のどの企業も「相当悪い内容になることは間違いない」(第一生命経済研究所・主席エコノミストの嶌峰義清氏)と予測している。
これだけでも株価の下げ圧力には十分だが、さらに追い討ちをかける不安材料がある。1月20日に就任するオバマ新大統領が打ち出す景気対策だ。早くから米自動車産業への支援を表明しているオバマ氏だが、この景気対策が不十分と判断されると、期待が大きい分、失望感も大きく広がり、株価も一気に下落するという読みだ。株価「5000円」も米国しだい、オバマ氏しだいというわけだ。
前出の嶌峰氏は「米国が抜本的な金融政策を採らなければ、株価が下がるリスクは止まらない」と指摘する。
12月の株取引は売買が少しずつ増えていて、「底値とみている個人投資家が買いに入っている」(インターネット証券)というが、12月が底値という判断は早計かもしれない。