「ブラジル帰ろうにも安い飛行機が取れない。帰るに帰れない」
トヨタ自動車の本社や工場がある愛知県にも、多くのブラジル人が住んでいる。豊橋市国際交流課によると、10月末時点で市内在住のブラジル人は1万2564人と、今年のピークだった2月に比べて375人減った。同課は「理由は定かでないが、仕事を失い他市に転出したか、ブラジルに帰ったのではないか」と推測する。
ハローワーク豊橋には、外国人の新規求職申込数が08年11月に228件来ていて、前年同期の約7倍に増えた。相談件数は575件で、前年の4倍以上にふくれあがっている。
「豊橋市には昔から外国人が多く住んでいて、周辺の企業は外国人への理解がありますが、それでも最近は面接すらたどりつけないという状況です。私どもも外国人を受け入れてくれる会社を新規で探していますが、なにせ相談件数が多いので追いつきません」
また、「ブラジルに帰るにも安い飛行機が取れない。帰るに帰れない」という相談者もいたと明かす。また住む場所を失い、車で暮らす外国人もいるのだとか。
総人口に占める外国人の割合が16.7%で「日本一高い」という群馬県邑楽郡大泉町。ハローワーク太田には外国人サポート室を設置していて、新規に相談に来た件数は08年10月が214人。前年同月は88件で、3倍近くに増えた。同室の担当者は「相談が立て込んでいる」といい、切羽詰まった様子だ。
外国人が住みやすい町としても評判高いだけに、口コミで「ここなら仕事がある」と聞きつけて、失業した外国人が流れてきている。しかし実際にはすぐに就職とはいかず、他市と同様に厳しい、という。
「日本人の失業者がこれだけ増えている中で、日本人との競争ですよ。1人しかない求人枠を日本人と外国人が奪い合うというのが現状です」