資金繰り悪化で政策金融公庫に殺到 中小企業は年越せるのか?!

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政府・日本銀行の対策で資金は中小企業に回らない

   一方、米国発の金融危機に伴う株価の下落で、銀行の財務内容は急激に悪化している。9月中間期決算では軒並み減収減益、保有する債券や株式の評価損が拡大し、不良債権処理費用がかさんで自己資本が目減りした。

   銀行は自己資本比率を維持するため、企業への融資を縮小する必要がある。「貸し渋り」や「貸しはがし」をしなければならないわけだ。

   貸し渋りをやわらげるため、政府・日本銀行も手を打った。10月末に政策金利を0.2%引き下げたにもかかわらず、11月下旬になると金融機関間の資金を融通する金利が利下げ前を上回って推移。資金が逼迫したため、日銀があわてて3兆円程度の資金を用意して、動揺する金融機関を落ち着かせた。

   しかし、こうした努力も「効果はわずか」(東京都内の信用金庫)という声は少なくない。多くの中小企業取引を抱える信用金庫や信用組合はもともと銀行間取引市場に積極的でないため、日銀が供給した資金が行き届かないからだ。

   たとえば、信用組合は日銀と直接取引していないため、全国信用協同組合連合会を介さなければならない。本来、ニーズが最もあると思われるところに資金が十分に回らない。上から水を流しても、結局、末端の中小企業にも資金は行き渡らないわけだ。

   いま、銀行や信用金庫が熱心に推進する信用保証協会の保証付き緊急融資にしても、金利は年2.0%程度(融資期間が5年以内の場合)と低いが、保証を受けられなければ融資もダメだ。「セーフティネット貸付」の利用者には、こうした民間金融機関で融資を受けられなかった中小企業が含まれている。

   東京都内の信用金庫は、「われわれは中小企業を相手にしている。そこに貸し出さなくては儲ける先はない」と、「門前払い」を否定する。しかし、融資を申し込んできた企業が5年後に経営改善の見込みがあったとしても、銀行は政策公庫のように「待って」はいられない。不良債権が増えては、また自己資本比率が低下してしまうので、「銀行は不良債権を増やすようなことはしないし、バランスシートの改善を優先する。おのずと、融資を抑えることになる」(前出の信金幹部)。

   いずれにしても、中小企業に資金は回らない。

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