日興コーディアル証券は「売却はあり得ない」と強く反発
これに対し、日興コーディアル証券は「日本はシティのアジア戦略にとって重要。中核事業の売却はあり得ない」(幹部)と、強く反発している。売却観測に拍車をかけた日興シティ信託銀についても「前から検討していた案件で、シティの経営悪化とは関係ない」と火消しに躍起だ。それでも売却観測が沈静化しないため、日興シティHDのダグラス・ピーターソン会長兼社長は12月2日に、わざわざ「日興コーディアル証券など中核事業を売却する考えはない」とのコメントを発表したほどだ。
ただ、日本の証券業界は、こうした発言を額面通りに受け取ってはいない。「日興シティHDが売却を否定しても、米本国のシティの決断によって売却されるシナリオは消えない」(大手証券役員)からだ。しかも、日興コーディアル証券などが売り出されれば、「証券業務の拡大を狙う三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)、みずほFGなどが黙っていない」(大手証券)とみられる。大手証券幹部は「証券会社にとっても、日興の顧客基盤、営業力は魅力」(大手証券幹部)と指摘したうえで、「売り出されれば、買い手に名乗りを挙げる」と言い切る。
リストラに苦慮するシティの姿によって、日本の金融・証券の再編が動き出しそうな雰囲気が強まっている。