働く女性の、「自分へのご褒美」でダントツ人気なのが、「スイーツ」だ。有名パティシエのケーキやチョコレートを会社帰りにデパ地下で買うOLが増えている。「バブル期」のご褒美の定番はブランド品だったが、最近は不景気のためか、単価を下げて「ちょっとした贅沢」としてスイーツを選ぶという。
有名パティシエのクリスマスケーキが人気
クロスメディア・プロモーションを行うメディア・シェイカーズ(東京都中央区)が働く女性に実施した調査で、「自分へのご褒美」に「スイーツ」を買うと答えた人がF1(20~34歳)は69.2%、F2(35~49歳)は61.1%と、いずれも高いことがわかった。他には「衣類」「アクセサリー」「バッグ」「エステ」「化粧品」などだった。ご褒美をあげるタイミングは、F1、F2とも1位「ボーナスが入った時」2位「ストレスを発散したい時」3 位「リッチな気分になりたい時」だった。調査は2008年10月、首都圏1都3県在住の20~49歳の女性会社員にインターネットを使って実施した。
池袋駅と直通し、会社帰りのOLが多く利用している「東武百貨店池袋店」(豊島区)の広報担当者は、こう語る。
「仕事帰りに、少し高めのスイーツを買って帰る20歳~30歳くらいの女性が増えています。すごく高いものをたまに買うというよりは、1回あたり1000円以内におさえて、ご褒美の頻度を高くしているようです」
最近、女性に人気を集めているのは、08年8月に同店に入ったフランスの焼き菓子ラスク専門店の「ガトーフェスタ・ハラダ」だ。1袋600円前後。「ちょっとした贅沢」として買っていくのだという。
1粒数百円する高級チョコレートを「バレンタインデー」に自分用に買う女性が増えているが、今年はなんと、「クリスマスケーキ」をご褒美に買うケースもあるという。「三越日本橋本店」(中央区)の広報担当者は、
「ご褒美用には有名パティシエのクリスマスケーキが人気で、すでに予約で完売したものもあります。『限定』や『王室御用達』といった言葉に惹かれて買っていくようです」
と話している。
直径およそ15cmの小さめサイズで、女性1人でも食べられる。価格は5000円台が中心だ。
不景気の影響?ブランド品は減る
「自分へのご褒美」という言葉は「バブル期」以降に広まり、当時はブランド品のバッグやアクセサリーなど高額商品を買うことが多かった。
「不景気の影響で、ご褒美の単価が下がってきているようです。スイーツであれば、そこそこの予算でいいものが買えますから」
読売新聞が運営する投稿サイト「発言小町」に、「自分へのご褒美ってあります?」というお題が08年11月12日に立てられている。「いつもは質素な生活、まじめな勤務態度」だが、自分の誕生日は「特別」に過ごしてみようと思い、みんなの意見を求めているという。すると、こんな意見が書き込まれていた。
「奮発して美味しいケーキを食べに行きます。
お気に入りのお店はお高めなので、予算3000円くらい出して、のんびりイートインします」
「私は、花より団子なので、綺麗なアクセサリーより美味しい食べ物をご褒美にしちゃいます。
WITTAMERやGODIVAのチョコレートをケースを眺めながら食べたいのを10個くらい選んで食べちゃいます」
一方で、「ディオールのお店で、27000円の華奢なストラップを買いました」「初VITTONでお財布を購入しました」という書き込みもあり、ご褒美にブランド品を買うバブリーな女性もいるようだ。
この調査から、自分へのご褒美を積極的にあげている人に、こんな特徴が見えてきた。ご褒美の頻度「2か月に1回以上」と答えた人と、「1年に1回以上」と答えた人に、(1)「趣味より仕事の方を大事にしたい」(2)「昇進していくことが第一の目標である」という質問をしたところ、(1)と答えた人は、「2か月に1回以上」が24.7%、「1年に1回以上」が16.2%、だった。また(2)と答えたのは、「2か月に1回以上」で26.0%、「1年に1回以上」で18.8%となった。
ご褒美を積極的に与えている女性ほど、「キャリア志向が高い」とうかがえる。裏を返せば、仕事に一生懸命に打ち込むからこそ、その見返りに、ご褒美を求めているとも言えそうだ。