家電量販店で最近よく目にする「100円パソコン」。初期費用がほとんどなく魅力的だが、一方で、2年契約で通信費に上乗せ料金がかかる。買うときには、本当にお買い得になるか考える必要があるようなのだ。
「安いので思いついたときに買えます」
「5万円パソコンでも衝撃価格。なのに、何でこんなに『100円パソコン』が――」。そんな疑問が出るほど、家電量販店には最近ズラリと並んでいる。
100円パソコンが出始めたのは、2008年7月から。通信会社のイー・モバイルと量販店がタッグを組んだ新商売だ。もちろん商品は、「ネットブック」と呼ばれる5万円前後のパソコンだが、100円になるにはわけがある。それは、イー・モバイルの2年制通信料金プラン「スーパーライトデータプラン にねんMAX」に入る条件のことだ。
同社広報部によると、カラクリはこうだ。例えば、低価格パソコン4万4800円とデータ通信カードのセットで7万4780円。そこから、同社の通信プランを2年間使った場合、パソコンとカードが割引になり、合計額の6万9600円を引くと、5180円。その費用の大部分を同社と量販店が負担すると、100円になるというのだ。
なぜ100円パソコンなのかについては、広報部では「安い台湾製のノートパソコンが市場に出てきたので、外出先でメールやネットを使うにはいいと考え始めました」と説明する。
ビックカメラ新宿西口店では、台湾アスース、米デルなどの5万円弱のパソコンが100円で出されている。5~6万円するパソコンは、1万円を切る価格や1万5000円ほどの価格で売っている。いずれにせよ、見た目は激安だ。「安いので思いついたときに買えますし、ネットブックとイー・モバイルの組み合わせはよく売れますよ」と店の担当者。
激安な分だけ、通信費へ毎月900円上乗せ
ただ、100円パソコンは、激安な分だけ、通信費への毎月900円の上乗せ料金を2年間支払わなければならない。これで2万1600円の出費だ。つまり、この額プラス100円のパソコンを分割払いで買った感覚になる。
通信費に上乗せして安く売る点では、かつての1円ケータイと同じだ。しかし、イー・モバイル広報部によると、上乗せ価格を明示し、2年と期限を決めている点で、その復活とは違うという。
パソコンは安いといっても、2年間は通信費を払い続けなければならない。上乗せ料金を除いても、毎月最低2000円だ。2年間なら、最低4万8000円になる。ビックカメラ新宿西口店の担当者は、お買い得になるケースについて、次のように話す。
「あくまでも、パソコンを持ち歩き、外でメールやネットを頻繁に使いたい人向きです。外で通信機能をあまり使わない場合、割高になってしまいますからね」
もちろん、無線や有線のLANサービスを使えるホテルなどなら、通信機能はいらない。
さらに、5万円弱のパソコンでも、店頭で割り引いている場合が多い。とすると、実質的なパソコン代2万1600円と4万8000円以上の通信費を考えると、人によっては必ずしも得とは言えないようだ。