派遣会社も「このままでは倒産に追い込まれます」
09年1月までに1500人の派遣労働者を削減する、と発表した日産自動車や、同じく千人以上を減らすいすゞの工場がある栃木県は、緊急対策本部を11月28日に設置した。宇都宮公共職業安定所は再就職支援コーナーで12月1日から相談を受け付けていて、中旬まで数十件の予約で埋まっている。相談者は主に自動車工場で働く派遣労働者で、「今年いっぱいで終わりだと告げられた。受け入れ先があるのか」「1日も早く再就職したい」と切実な思いを語っている。担当者は、
「自動車関連を中心に企業側が見合わせたい、というケースが増えて、全体的に求人が減っています。福祉関係なら少しはありますが、自動車メーカーより給与が安くなる、と断る人もいて、うまくマッチングしませんね」
と悩みをあかす。
愛知県内で自動車製造業に人材派遣している会社は、以前は400~500人を派遣していたが、半分以下に減った、ともらす。同県に本社を構えるトヨタ自動車も下請会社などで人員削減を決めている。
「愛知県内は『トヨタショック』で、それはもう大変な状況です。不況で契約打ち切りになるだけでなく、『2009年問題』も絡み、困っています」
労働者派遣法により、3年間の契約満了後、3か月は同じ労働者を受け入れられない。裏を返せば、3か月と1日経過していれば、継続して派遣契約を結んでもいい、となる。この3か月は「クーリング期間」と呼ばれ、同期間を経て再度契約を結ぶということも行われている。ところが、厚生労働省はこれを違法だとする通達を08年9月26日に出した。
「例え継続雇用できる余裕のある大手でも、通達によりしなくなるでしょう。企業イメージにも関わりますから。そうなれば派遣労働者はゼロに。労働者は失業し、我々もこのままでは倒産に追い込まれます」