派遣「2009年問題」の深刻 3万人失業、ホームレス化?

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   製造業を中心とした派遣労働者の多くが2009年中に契約の期限切れを迎える。その多くは更新されず、09年3月までで失業者は少なくとも3万人にのぼることが、厚生労働省の調べで明らかになった。再就職先を見つけるのもこの経済状況では難しく、全国の派遣労働者は今、極度の不安にかられている。

会社の寮から出て行ってくれと言われ、パニック状態

   自動車関連メーカーをはじめとする製造業は06年3月以降、雇用契約を「請負」から「派遣」へと切り替えた。「偽装請負」が社会的に問題になったからだ。「労働者派遣法」により契約期限は3年間と定められているため、06年に派遣契約を結んだ労働者は09年で契約満了となる。その後は直接雇用や契約期間の定めがない請負に切り替えるなどの選択肢はあるが、景気の悪化もあって情勢は厳しく、自動車製造業は数千人単位で人員削減を発表など、期限切れになった労働者が09年中に大量に失業すると言われている。これが「2009年問題」だ。厚生労働省がまとめた全国調査では、08年10月から09年3月までに約3万人の非正規労働者が解雇される見通しだ。

   事態を重くみた地域労組の全国組織「全国ユニオン」が08年11月29、30 日に電話相談を実施したところ、472件の相談が寄せられた。相談内容の内訳は、契約中途解除(解雇)219件、契約更新拒絶129件、住居問題72件。地域別では、東京が238件と最も多く、大阪82件、東海68件、名古屋41件と続く。男性が半数以上を占め、年齢別では30代91件、40代114件、50代80件となっている。「派遣ユニオン」のブログには具体的な相談内容を載せている。

50代男性(群馬県)
「車のマフラーの製造の仕事で4年間、派遣されてきた。同僚の派遣は『明日で終わり』と言われて次々に切られて行った。自分は勤続が長いので今まで切られなかったが、『12月いっぱいで終わり』と言われた。契約は3月まであるが、『もう関東に仕事はない。自分で探せ』と言われた。会社の寮も『出て行ってくれ』と言われているが、行くところがない。もうどうしていいかわからない」

30代男性
「自動車工場に派遣されている。3月まで契約があるが、『12月末で終了』と言われた。『1月5日に退寮しろ』と言われている。住まいを探しているが、蓄えなく、敷金もない。職安にも行っているが、仕事のめどが立たない。不動産屋では『定職がないと保証人代行は難しい』と言われた」

50代男性(栃木県)
「今の派遣先(自動車部品製造)に約4年派遣されている。3月までの契約があるが、11月27日に『12月で辞めてほしい』と言われた。会社の寮(レオパレス)も出て行かなくてはいけない。そんなに急に言われても、どうやって食っていったらいいか…。郷里に帰っても住むところがない。家賃4万8000円を天引きされていて手取りで10万以下だったから、貯蓄も全然ない。市役所に電話したが、『生活保護は無理』と言われた。もうパニック状態…」

   雇用と住まいを同時に奪われて路頭に迷うしかない、という姿が浮き彫りになった。派遣ユニオンは、

「このまま年末を迎えたら大量のホームレスを生み出してしまいます」

と訴えている。

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