外国人仕様、日本人には合わない
中堅のマンション販売業者は「外国人が住んでいた部屋に、そのまま日本人が住むことはむずかしい」と空室のわけを説明する。
高級マンションは天井が高かったり、「上がりがまち」(玄関の上がり口)がなかったり、大きめの冷蔵庫が備え付けてあったり、日本人用に比べてサイズが大きい。トイレの便座も大きく、高い。これらはすべて外国人仕様に造りかえている。
ところが、こうした「造り」がアダになっている。カーペットやフローリングはまだしも、ベッドルームは複数いらないし、キッチンの高さも違う、ゼネラル・エレクトリック(GE)製の、横向きの冷蔵庫は日本人の住まいにはあわないし、さすがに2台もいらない。設備が壊れても部品を海外から取り寄せなければならないし、一見おしゃれに見えても生活すると日本人にはあわないので、どこか落ち着かないし居心地がよくないのだ。
外国人はそもそも、スケルトンで部屋を借り、自分の好みに部屋を「造る」。そんな高級マンションを日本人向けにリフォームするとなると、「設備のレベルを多少落としたとしても、工事が大がかりになって安くない」(前出の不動産会社)と話す。
外資系企業で働く外国人といっても、最近は欧米だけでなく豪州、中国やインド、東南アジア系と幅広くなってきたし、もちろん日本人もいるので、必ずしも「外国人用」の物件ばかりではない。とはいえ、メンテナンス費用がかかれば賃料も下げづらくなって、「空室」は当分解消されそうにない。