究極の贅沢品としてなにかと話題になるプライベートジェット。最近では、米自動車メーカー首脳がプライベートジェット機でワシントン入りし、批判を浴びた。乗っていたジェット機は「ガルフストリーム」。1機あたり40億円とも50億円するともいわれる。ここ数年、日本でも利用が増えてきたが、最近の世界的不況で落ち込んだかと思いきや、引き渡しまで「5年待ち」もあるという人気ぶりは続いているそうだ。
この1年で、受注ベースで2倍強
プライベートジェット機の中でも上位にランクされる「ガルフストリーム」。日本でその総代理店を務める丸紅エアロスペースは、「ここ数年受注が増えていることは確かで、年間に数機程度、売れています」という。購入先は「明かせない」が、上場企業やその関連会社が大半とのこと。それがこの1年で、「受注ベースで2倍強になっている」と、プライベートジェット機を求める企業などがさらに増えていると明かす。
ガルフストリームは年間100機程度生産されている。プライベートジェット機は一般に、注文を受けてから製造するので、場合によっては「5年待ちのこともある」(丸紅エアロスペース)そうだ。
米議会に出席するのにプライベートジェット機を使ったとして痛烈な批判を受けているGMのワゴナー会長兼最高責任者(CEO)は、どこに行くにもプライベートジェット機を利用していたらしい。米報道によれば、ワゴナー会長がデトロイトからワシントンに駆けつけた際に利用したプライベートジェット機は往復約2万ドル(約200万円)かかったそうだが、ワゴナー会長は議会での質問に、「プライベートジェット機のほうが効率的、機動的に動ける」と説明したという。
欧米では超多忙な経営者は、「時間を買う」つもりで日常的に利用している。もちろん、欧米の、世界の名だたる企業がプライベートジェット機を所有。「世界を動き回る人は持っている」(丸紅エアロスペース)。
レンタルでも羽田-香港間で往復約1300万円
レンタルの利用もまだ増えている。ただ、プライベートジェット機はレンタルでも安くはない。レンタルを手がけるジャパン プライベートジェットによると、羽田-香港間で往復約1300万円。国内では羽田-札幌間が片道約255万円、羽田-那覇間で片道約397万円が必要という。
さらに同社の場合は、完全前金制なので振込みが確認されないとチャーターしてもらえない。そもそもビジネス以外では、ふだん忙しい人が、ちょっと時間が空いたときに思い立ったように旅に出る、といった使われ方がされている。ジャパン プライベートジェットは、「個人で、たとえば沖縄、マカオや香港にプライベートジェットを使う人は少なからずいます。往復でチャーターするほうが安価なのですが、片道ずつ、『また帰りに連絡するから迎えにきて』と、気ままに旅行を楽しむのに使う方もいます」と話す。
それでも、利用が多いのはやはりビジネス。大手上場企業の首脳などが会議や商談などの移動に使うことや、大物タレントやアーチストらがテレビ出演のための移動に利用している。
最近は、JTBが「プライベートジェット機で行く豪華ハワイの旅」といった企画を発売。富裕者層をターゲットに、家族やごく親しい人たちと、まさにプライベートな豪華旅行のためにチャーターする機会を提供している。
また、サンスター「トニック」が今夏展開した「超スッキリ空の旅プライベートジェット周遊キャンペーン」の懸賞広告では、その賞品にプライベートジェット機を用意した。 企業とのタイアップをはじめ、いろいろな使われ方が出てきたため、不況とはいえレンタル利用も全体的には増加傾向にある。