IBMリストラでまともな会社に? 労組サイトに「元社員」が反論

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   日本IBMの「元社員」を名乗るブロガーが、労組サイトでのリストラ証言に対し、「これでようやくIBMもまともな会社に生まれ変われる」などと反論、話題となっている。「はてな」で400件以上ものブックマークがついた注目ぶりに我慢がならなかったというのだ。やはり一流企業社員は恵まれているのか。

労組サイトで生々しいリストラ証言

「元IBMerの思い出」と題したブログ日記
「元IBMerの思い出」と題したブログ日記

   IBMの労組サイトが注目を浴びたのは、そこに載った生々しいリストラ証言だった。

「社内にはあなたの行き場所はない」
「派遣会社なんかも好条件の仕事がたくさんあるみたいですよ」

   これらの発言は、リストラ対象になったというある社員が2008年10月24日夕、所属長のライン管理職から受けたというものだ。しかも、うつ病を患っているこの社員に対し、管理職らは、病気だからというのは甘えだと主張したという。社員は退職を拒否したものの、それから週1、2回の個室での面談が11月14日までに計7回も続き、ストレスで病状が悪化したとしている。

   サイトを運営するのは、全労連系の労働組合「JMIU日本アイビーエム支部」。11月27日に「『退職勧奨』という名の『退職強要』の実態」などの題で証言を載せ、IBMのリストラを批判して、「そこには人権尊重の考え方のかけらもありません」と過激な主張をしている。

   この労組は、日本IBM全社員約1万6000人のうち百数十人が加入しているに過ぎない。それにもかかわらず脚光を浴び、はてなでも「あこがれのIBMもこうなのか・・」「ひどすぎる」などとコメントがついた。ところが、元社員を名乗るブロガーが、この注目ぶりには我慢がならないとして、はてな匿名ダイアリーで12月1日、「元IBMerの思い出」と題してこれに反論した。

   この「元社員」は、新卒で入社して5、6年勤め、数年前に辞めたものの、IBMについて「本当に恵まれている」と証言した。その一方で、かつて主力だった50代以上の営業やエンジニア経験者が、クオリティコントロールなどの間接部門に配置転換されるなどしたものの、1日中ネットを見たり、ゲームをしたりしていたと指摘。労組は彼らの代弁者だと批判したうえで、「今回の大元となったリストラ報道を聞いたときは、ようやく日本のIBMもまともな会社に生まれ変わることができそうと思いました」とまで言っている。

「一応面談の姿勢を示そうとするところはさすがIBM」

   「元社員」のブログもネット上で注目され、はてなで400件以上のブックマークがついている。IBM側は、リストラについてどう考えているのか。

   日経など新聞各紙では2008年11月26日、売り上げの低迷から、年内に1000人ほどの正社員削減をすると一斉に報じた。これに対して、日本IBMの広報担当者は、「言っていない」として、リストラそのものを否定した。しかし、アメリカのIBM本社が10月中旬、日本で新しい人事制度を導入することを明らかにしており、日本の広報担当者も、その中で不適格者には再就職を促すことを認めている。

   55歳での早期退職制度は12月末で止めることから、対象者には退職金の割り増しがあるうちに転職を勧めるようだ。制度廃止で浮いた1億ドルは、ITの最新技術などを学ぶスキル強化のプログラムに投入するとしている。

   労組が暴露したリストラ証言については、IBMの担当者は、「個別の面談内容は把握していないので、本当かどうか何とも言えません」と否定はしなかった。ただ、「言われた方はそう思うかもしれませんが、退職強要や指名解雇はないと思います」としている。一方、「元社員」のブログ発言についても内容を把握していないとしながら、「組合参加者は少なく、エキセントリックな感じだったので、その方は組合が好きでなかったのでは」とだけ話した。リストラでまともな会社になったのかについては、「その方の感想なので、コメントは控えさせて下さい」とのことだった。

   もっとも、ネットでも、リストラに理解を示す声は強い。はてなで出ているのは、「こんなもんじゃん。一応面談の姿勢を示そうとするところはさすがIBMだよ」「こんな搦め手は精神的に応えるだろうけど、世の中の大半の企業は退職金も碌に出さず、再就職先の斡旋もせずに、有無を言わさず切っちゃうよ」「ごめん、あまり同情できんかった。会社は慈善事業じゃないからな」といった声だ。

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