企業がブランディングの一環として出版する「ブックファンド」
本を対象としたファンドもある。英治出版(東京都渋谷区)は、出版に必要な費用の出資を著者や訳者の関係者から募る「ブックファンド」を導入している。本の企画を審査して「ゴー」が出れば、定価や発行部数といった詳細を決める。1口10万円から出資を募り、目標額に達すると出版する。運用期間は発売から1年。
企業やNPO団体から企画が持ち込まれることが多く、これまでに51タイトルを出版した。担当者は、
「企業がブランディングの一環として出版するケースが増えています。新聞などに数千万円かけて広告を打っても、掲載期間が短く、十分な効果が得られないことがありますが、本にすれば書店に一定期間は置いてもらえるというメリットがあります」
といい、元本割れしても金銭面以上のメリットがあると訴える。
個人の持ち込みで成功した例もある。「さおだけ屋はなぜ潰れないのか」の著者である山田真哉さんが同書で有名になる前に、ブックファンドを利用して出版したのが「女子大生会計士の事件簿」だ。発売された02年12月に、「Amazon.co.jp」で和書ランキング総合3位、「ブックファースト」渋谷店でビジネス書3位を記録した。
今のところ、「ブックファンド」の一般公募はしていないが、将来的には検討したいとしている。そうなれば、出資者の手でベストセラー作品が生まれるのも夢ではないようだ。