SNS「mixi(ミクシィ)」が、これまでの「招待制」から「登録制」に移行する。登録する際の年齢制限もこれまでの18歳から15歳まで引き下げる。より多くのアクティブユーザーを取り込む狙いがあるようだが、従来の「閉じた空間」といった「mixi」のイメージが大きく変わることになりそうだ。
狙いは「より多くのユーザーに使ってもらうため」
ミクシィは「登録制」への移行を発表した
SNS「mixi」を運営するミクシィは2008年11月27日、同サイトの利用制限を緩和し、09年春から既存ユーザーからの招待状が無くても登録できる「登録制」を導入すると発表した。また、それにさきがけて08年12月10日からは、「18歳未満は登録不可」としていた年齢制限を、15~17歳でも利用できるようにする。これらの新しい措置に伴い、ユーザーサポート体制を強化するとともに、利用規約に反する書き込みを監視するシステムを増強するとしている。
ミクシィの広報担当者はJ-CASTニュースに対し、
「より多くのユーザーに使ってもらうために、これまで周りにユーザーがいないといった制限があった人たちに、登録機会を提供したいということがある。また、今まで通りの招待制も使って友人などと楽しんでいただきたい」
と「登録制」の狙いについて話す。「登録制」では、登録時に生年月日の入力を必須とするほか、07年に導入した携帯電話端末認証を引き続き活用することで「サイトの健全性を確保できる」との見方だ。ただ、当初の「招待制」でつくられた「閉じた空間」とは大きくコンセプトが変わることになる。
ITジャーナリストの井上トシユキさんはJ-CASTニュースに対し、「mixi」の制度変更について、「(登録制に移行したとしても)安全性を確保してコントロールできると考えているのだろう。実際、自分で登録するという心理的障壁もある」と指摘する。
「mixi」では、「招待制」でユーザーが大幅に拡大した一方、業者が介入したり、薬物の違法な売買をあっせんするような書き込みもなされるなど、健全性での不安も指摘されていた。このため、ミクシィはPC版、携帯電話版ともに登録時の携帯電話端末認証を導入している。
成長見込める「携帯ユーザー」の取り込みを期待
「mixi」を取り巻く経営環境も当初から大きく変化してきている。ミクシィの2008年度第2四半期(7-9月)の決算では、売上高が前年同期比18.9%増の29億3800万円、営業利益が同比9.8%増の9億9100万円だった。PVはPC版が50億PV程度で「頭打ち感」がある一方、携帯版では着実に成長し、08年9月の段階で、97億8000万PVに達している。
同社が出した、広告売上をPVで割ったページあたりの広告価値の試算では、PC版が横ばいであるのに対し、携帯電話版は順調に成長している。こうしたことから同社は、携帯電話版の広告で、トップバナーの単価を引き上げるなど、携帯版での収益を強化する考えだ。
「mixi」の年齢制限の緩和についても、携帯電話を頻繁につかう若年層のユーザーを取り込む狙いもありそうだ。井上トシユキさんは、「モバゲータウンのように、若年層のアクティブユーザーを取り込んで、広告を取りやすくするという狙いがあるのだろう」と分析している。