東京都心のオフィス賃料の下落が鮮明になってきた。銀座や丸の内界隈の地価が下落に転じていて、都心の商業店舗やオフィス賃料の下落にも拍車がかかりそうだ。その一方で、いまだに大規模開発プロジェクトを抱えており、「人気の丸の内界隈のオフィスでもテナントが埋まらない」と囁かれはじめた。
オフィス賃料3年前の水準に逆戻り
オフィスビルなどの仲介・コンサルタントを担う三鬼商事によると、東京のビジネス地区(千代田、港、中央、新宿、渋谷の5区)の10月末時点の平均空室率は4.30%で、前月比0.23ポイント上昇した。大型(100~299坪)・新築物件のテナント募集については「おおむね順調に推移している」というが、08年は供給棟数が多いのでテナント誘致競争が強まっているそうだ。
テナントの移転は前年に比べると消極的で、「最近は様子見が増えている」。その結果、テナントの立場から見れば物件の選択の幅は広がっていて、「多少スペックが落ちてもかまわないというテナントや、賃料の安いほうに動くテナントがあって、借り換え移転に伴う解約予告は少なくないし、必ずしも新築が優位ではなくなっている」という。
オフィス賃料の推移をみると、たとえば赤坂や六本木などがある港区の平均賃料は新築オフィスで坪3万円。07年12月末時点が3万1600円、06年12月末で3万4166円だったので、「3万円」は05年12月末(2万7700円)の水準に逆戻りした格好。
ゆるやかに上昇してきた既存のオフィスビルの賃料も坪2万3328円で、07年12月末に比べて2万3357円とわずかに下がった。
国土交通省の調べでも、銀座界隈のオフィス賃料は「空室率がいく分上昇ぎみなため、やや下落傾向に転じている」としている。