ギャンブル性が規制対象になったことなどから、パチスロ人気がかつてないほど落ち込んでいる。関連機器販売が7~8割も減少するほどなのだ。業界では、ゲーム性向上などの努力をしているが、その成否は見えないままだ。
全国のパチスロ台は1年で2割減少
「パチスロは、確かに人気がなくなっています。それで、パチンコに力を入れて、スロットマシンの割合を減らしていますよ」
パチンコホール最大手のマルハン(京都市)の広報担当者は、こう明かした。
同社では、パチスロの割合は、2007年4月に34%だった。それが、08年6月には27%にまで下がったという。その分、パチンコ台が増えた計算だ。
人気が低下したのは、04年7月の風営法施行規則改正で、ギャンブル性の高いパチスロの「4号機」が禁止されたことがある。パチンコ依存による多重債務などが社会問題になったからだ。その結果、07年9月までにスロットは「5号機」に置き換わり、1日で100万円以上も稼ぐことは難しくなった。5号機では、せいぜい2~3万円とされる。
次に、影響を与えたと言われるのが、06年12月に成立した改正貸金業法だ。年収の3分の1を超えて貸せないなど金額や金利で足かせがはめられ、ヘビーユーザーが消費者金融からパチンコ代を借りにくくなった。
その結果、全国のパチスロ台は、07年末に前年比で2割ほども減少した。さらに、その影響は周辺機器にも及んだ。パチスロ用のメダル自動補給装置やセンサーなどの売り上げが、08年度は前年度比7~8割も大幅に減少したというのだ。パチンコホール側が、パチスロ低迷で設備投資に二の足を踏んでいることが背景にある。
パチンコはゲーム性の自由度が高まる
風営法の遊技機規則改正では、パチスロのゲーム性も大幅に制限された。例えば、旧4号機では、ボーナスが出ているときにある一定のボタンの押し方をすることでメダルを多く獲得できた。それが、5号機ではなくなったのだ。
「その結果、だれがどんな打ち方をしても、同じ枚数を獲れるようになりました。攻略の要素が制限され、ユーザーの方には面白くなくなったんですよ」(マルハン広報担当者)
その一方で、パチンコは、ゲーム性の自由度が高められた。例えば、ギャンブル性の高いタイプの台と低料金で長い時間楽しめるタイプの台を合わせて、それぞれの良さを折衷した台を作れるようになった。マルハンでは、「ゲーム性が高まった面白いパチンコ台になって、集客に貢献しています」と話す。同社では、1円パチンコも導入して、初心者や女性など様々なユーザーに楽しめるようにしているという。
ただ、パチスロ機メーカーも、巻き返しに必死のようだ。シェアトップのセガサミーホールディングスは、07年9月の中間決算で初の営業赤字に転落したものの、担当者が次のように話す。
「例えば、『ハードボイルド』という台なら、規制の範囲内で、遊び方を指示するナビゲーションのART機能を4号機と同じように付けるなど、ゲーム性を取り戻す開発努力をしています。まだ、売り上げは低いですが、実績は戻ってきていますよ」
もっとも、パチンコよりギャンブル性が高いことが人気だったのがパチスロ機。以前の人気を回復できるまでになるかは、未知数だ。