日本メーカーの米ビッグ3戦略 経営危機の深刻化で見直し

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   米自動車最大手ゼネラル・モーターズ(GM)が2008年11月17日、保有するスズキ株のすべてを売却すると発表し、翌18日には、米自動車2位のフォード・ モーターが、マツダ株33.4%のうち約20%分を売却すると発表した。米自動車大手2社が相次ぎ日本メーカーの保有株を手放す背景には、経営危機の深刻さがある。日本メーカーにとっては、米大手との間で築いてきた戦略の見直しが迫られる事態が近づいてきた。

GMと共同開発している燃料電池などの環境技術はどうなる

   GMとスズキは1981年に提携し、当初はGMがスズキ株の5.3%を取得。01年にはGMが約20%まで出資比率を高めた。GMの経営不振で、06年には17%をスズキに売却し、残る3%を保有していたが、今回はこのすべてを売却。スズキ株はスズキが自社株として取得し、GMの売却額は約220億円に上った。

   スズキの鈴木修会長は「GMが資金調達上、保有株式を処分する必要性に迫られた状況を十分理解したので応じた。進行中の個別プロジェクトは継続する」とコメントし、提携は維持すると強調した。しかし、スズキはGMと共同で開発している燃料電池車などの環境技術が提携の大きな狙いだ。経営動向でGMのエコカー対応に影響が出れば、GMとの関係を見直す可能性も出てきそうだ。

   一方、フォードは、引き続きマツダの筆頭株主という地位にはあるものの、マツダ株の保有比率は約13%に下がった。フォードが手放したマツダ株は、マツダが約7%を自己株として買い取るほか、マツダの取引先である住友商事やデンソーなど30社程度が取得。フォードが得る売却額は約520億円になる。

   フォードとマツダとの関係はGMとスズキ以上に深く、70年にフォードがマツダに出資して以来だ。96年にマツダが経営危機に陥った際、フォードは出資比率を33.4%まで引き上げ、マツダに社長を派遣。フォード主導でマツダの経営再建が進められ、現在のマツダはフォードの稼ぎ頭的な存在 にまで成長した。マツダの海外工場はすべてがフォードとの合弁で、新車開発でも協力しており、「どこまでがフォードでどこまでがマツダか分からない」(井 巻久一会長)実情。「フォードとの関係は変わらない」(同)という。

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