一般男女が出会うバーに衣替え
クラブのほとんどが入会している銀座社交料飲協会の神谷唯一事務局長も、取材に対し、200店閉店のうわさの存在を認めた。
「上場企業さえつぶれている現実で、(交際費削減で)お金を使わないと真っ先にわれわれに影響が出ます。売り上げは確実に減っており、ひどい例だと半減というところもあります。忘年会、クリスマスと12月は書き入れどきなので、『こんな状態でダメだったら』との見通しなんじゃないですか。危機感を感じているということだと思います」
業界では、店のことを「箱」と呼んでおり、大規模店の「大箱」は特に影響が深刻のようだ。銀座に50店ほどある大箱について、前出のクラブ関係者はこう話す。
「座るだけで10万円、ボトル1、2本空ければ60~70万円もするような店なら、会社側が『なんなんだ』ということになるようです。女の子の時給10万円とか高いところは、大変なようですよ。中小箱はそれほど大きな影響がまだありませんが、大箱はみな大騒ぎしていますね」
もっとも、一部老舗などを除き、銀座のクラブがつぶれることは珍しいことではない。銀座社交料飲協会の神谷事務局長によると、銀座では年間100店がつぶれ、また同じぐらい増えているという。ただ、今回の金融危機の影響は深刻で、年明けに大騒ぎになる可能性は依然あるとしている。
そんな中で、クラブ側も試行錯誤しているようだ。
個人経営でなく会社組織なら、経営合理化のための統合・縮小がその一つ。さらに、神谷事務局長は、業態転換も増えていると明かす。
「女の人を使わないで、ワインバー、カクテルバーにして、一般女性との出会いの場に衣替えしたところも増えています。銀座らしくある程度のステイタスを保ちながら、若い人にもリーズナブルに楽しんでもらおうという試みです。1回で2、3万円もかかるようなところは減っていますよ」
そうなると、もはや銀座のクラブとは言えないかもしれないが、業界が一つの転機を迎えつつあることは確かなようだ。