景気刺激策は内陸部の振興につながるのか
改革開放の30年間、中国の農村部の人口は8億前後だったが、都市部は1億から現在の5億まで膨張した。北京、上海の場合は、都市人口の三分の一ぐらいが流動人口で、その多くは出稼ぎのために都市部に来ている農民工である。若い年齢層はさらにその傾向が強い。金融危機が長く続くと、数千万人の農民工はいずれもとの農村に帰らなければならない。ただ、一人あたりの耕作面積も狭く、農村も都市から帰ってきた人を受け入れられない。
沿海部の部品工場で十数年間も働き、技能も高いのに、金融危機の余波で仕方なく会社を離れる人がたくさん出てきた。天津、蘇州などで大型の工場を持っている或る日系企業の総経理(社長)は、「内陸部で下請け企業でもつくって、今度の危機を乗り切ってもらいたい」と話す。ただ、その日系企業も今すぐには生産拡大の計画はない。せっかく訓練を受けた人が内陸部に散っていくのは損失だ。
中央政府が景気刺激のため4兆元を投資、各地方もそれぞれ数千億元単位の追加投資をしている中、かつてないほどの額は一挙に中国市場に出回る。これで逆流する数千万人の農民工の雇用が作り出せるものだろうか。これが成功したら、いままで口だけだった内陸部の振興がはからずもできてしまうのだが。
(J-CAST北京)