「国民の皆様に誤解のないようにご発言いただかないと」
それ以外にも、19日には医師について「社会的な常識がかなり欠落している人が多い。ものすごく価値観が違う」と発言。その後「まともなお医者さんが不快な思いをしたと言うのであれば、申し訳ない」と述べたが、それでも事態は収束せず、20日には日本医師会の唐沢祥人会長が官邸を訪れて抗議。麻生首相は「言葉の使い方が不適切だった」として発言を撤回、謝罪した。
21日になっても、「身内中の身内」であるはずの閣僚から苦言が相次いだ。
「やはり、少し言葉が足らないのか、という気もする。総理という立場もありますし、国民の皆様に誤解のないようにご発言いただかないと」(小渕少子化担当相)
「あの発言は不適切だったのではないか。しっかりと、われわれの本意が伝わるような表現をしなければ」(斉藤環境相)
「話をおもしろく、分かりやすくしようとして、若干適切さを欠く発言をしてしまうことがある」(森法相)
これらの背景について、浅野史郎・前宮城県知事は、
「医師についての発言と、道路などの政策の話とは、次元がまったく違う」
とした上で、「医師発言」については、
「発言があったのは、全国知事会という場。麻生さんはかつて(全国の知事を束ねる)総務大臣という立場にあった。いわば昔の仲間なので、気安さがあったのでは。こういう場面があぶない」
と、脇の甘さを指摘した上で、道路財源や株売却関連の発言については
「元々キチッと決めて言わなかったのが問題。はっきり言って、政策を理解していないということが露呈してしまった」
と、「政策についての不勉強」が元凶だとの見方を示した。
麻生首相は現在、ペルーで行われるAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会談のため日本を離れているが、帰国後も逆風はやみそうもない。